2019年5月5日日曜日

現状で 廃炉に外国人労働者を受け入れることはあり得ない

 北海道新聞が「廃炉に外国人労働者を受け入れるのは拙速すぎる」とする社説を出しました。
 危険な現場で外国人が働く場合、日本語による意思疎通が壁となって労災が発生する恐れがあるとして、このまま受け入れるのはあまりに拙速だというものです
 取り分け放射線の危険性の高い環境なので、健康状態に異変が起きた際、被ばくが原因とみられる病気になった可能性がある場合は、どう対応するのか困難さは想像に難くないとも指摘しています
 
 東電には、多くの懸念や疑問の解消に努める責務があり、何よりも発注元として厳格に監督する義務がありますが、これまでの実績からはそれは殆ど期待できません。
 例えば多次の下請け構造に伴う中間搾取の問題一つとっても、全く関与できなくて、数十年来解決出来ていないというのが実態です。
 
 そもそも東電が先に廃炉工事に外国人労働者を採用できると公表した際に、「法務省が『新資格は受け入れ可能。日本人が働いている場所は分け隔てなく働いてもらうことができる』」と述べたと説明したのですが、それは共産党の仁比聡平議員の質疑によって、東電の言い分は間違いで、放射能汚染物質の除去や原発構内の建物解体の作業には、特定技能外国人が従事できないことが明らかになりました。
 例えば主な受け入れ業種とする建設業について、国交省の北村知久大臣官房審議官は、「汚染物質の除去は建設分野の11職種に当てはまらない」、「汚染物質除去後の建物解体作業も、11職種に解体は含まれていないので対象にならない」と述べています。
 
 こんな基本的な点で間違っているのでは何も信用できなくなります。
 もしも東電が、労働者が不足がちで外国人労働者の受け入れを熱望している下請けに強要されるがままにそんな説明をしたと言うのであれば、話になりません。
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社説 廃炉に外国人 受け入れは拙速すぎる
北海道新聞 2019年5月4日
 外国人労働者が廃炉作業に従事するのは、問題が多いと言わざるを得ない。
 東京電力が、4月から始まった新たな在留資格「特定技能」の外国人労働者を、福島第1原発の廃炉作業などで受け入れる方針を明らかにした。
 核燃料が溶け落ちた第1原発の作業現場は、放射線量の高い危険なところもあり、厳しい健康管理が欠かせない。
 外国人が働く場合、日本語による意思疎通が壁となって労災が発生する恐れがある。このまま受け入れるのはあまりに拙速だ。
 
 第1原発では、東電や協力企業の社員ら1日平均4千人が働く。
 今回の対象業種は、特定技能1号の「建設業」や「電気・電子情報関連産業」などだ。
 1号は、日常会話程度の日本語能力が求められるが、廃炉作業には、語学力に加え、放射線の専門用語などの知識が必要となる。
 現場ではこうした用語が飛び交い、作業の手順も複雑だ。
 作業員は日々入れ替わり、日本人同士でさえ、コミュニケーションを取りづらいのが実態という。
 外国人との共同作業には、ミスや事故を誘発しないように、細心の注意が求められよう。
 1号は、しばしば劣悪な待遇が問題となる技能実習生からの移行が見込まれる。
 実習生は、3年間の経験があれば、試験が免除される。
 
 昨年、第1原発では、技能実習生を働かせないというルールに反し、下請け企業が6人を敷地内の焼却施設の建設工事に従事させた問題が発覚した。
 外国人作業員の確保は、下請けが判断するという。
 発注元として東電は厳格に監督しなければならない。
 
 帰国後の健康状態をどう追跡調査するのかもはっきりしない。
 放射線を浴びると、がんのリスクが高まる。
 厚生労働省によると、第1原発で働いた後、がんを発症して労災認定された事例が6件出た。
 健康状態に異変が起きた際、とりわけ、被ばくが原因とみられる病気になった可能性がある場合は、どう対応するのか。困難さは想像に難くない。
 廃炉には長い時間がかかり、人手の確保は、東電にとって大きな課題だろう。
 だからといって、作業員を危険にさらしていいわけがない。
 東電には、多くの懸念や疑問の解消に努める責務がある。