福島大環境放射能研究所の研究グループは6日、福島第1原発の処理水放出後に福島県沿岸で採取された魚で、放射性物質トリチウムが蓄積していないとする研究結果を発表しました。トリチウム水の海洋放出前後のシロメバルの水分に含まれるトリチウムは、放出前と同じか2倍ほどの量で、放出後の魚の水分のトリチウム濃度は生息海水中の濃度とほぼ同じだったということです。
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魚にトリチウム蓄積せず、処理水放出の影響なし 福島大、原発から7キロ海域調査
福島民友 2025/08/07 09:25
福島大環境放射能研究所の高田兵衛(ひょうえ)教授(48)らの研究グループは6日、東京電力福島第1原発の処理水放出後に本県沿岸で採取された魚に、放射性物質トリチウムが蓄積していないとする研究結果を発表した。これまでに国の研究機関などが示しているのと同様の結果が同大の独自調査でも得られ、高田氏は「今後の処理水放出によるトリチウムの海洋生物への移行や消費者への安心安全を評価するための重要な情報になる」としている。
研究グループは2021年から24年にかけ、第1原発から7キロの海域で、魚と、その魚の生息場所の海水を採集、それぞれに含まれるトリチウムを調べた。主に採集されたシロメバルとヒラメで、23年8月に始まった処理水放出の前後の平均値を比べた。
シロメバルの水分に含まれるトリチウムは、放出前11回の平均が1キロ当たり0.089ベクレル、放出後8回の平均が同0.081ベクレル、ヒラメは放出前7回の平均が同0.075ベクレル、放出後2回の平均が同0.13ベクレル。生息海水中のトリチウムは放出前が1リットル当たり0.085ベクレル、放出後が同0.17ベクレルだった。いずれも大きな差がなく、放出後の魚の水分のトリチウム濃度は生息海水中の濃度とほぼ同じだった。
研究成果は国際学術誌ジャーナル・オブ・エンバイロンメンタル・ラヂオアクティビティにオンライン掲載された。