しんぶん赤旗の〝知りたい 聞きたい″のコーナーに「革新軽水炉って?」という記事が載りました。
「革新型」と称されていますが基本的な設計は従来のPWR(加圧水型原子炉)と変わりはなく、新たな設備としては欧州で採用されているコアキャッチャーが追加される程度で、その他は上空からのミサイル攻撃に堪えるように屋根の部分を強化することなどが考えられます(それらはBWR(沸騰水型原子炉)においても全く同様です)。
建設には1兆円(100万KW)規模が必要とされていますが、欧州の実績では2兆円超で 地元はすさまじい電気代の値上げに見舞われているということです。
注.日本はまだ詳細設計に入っているわけではないので、最終的には欧州並みのコス
トが掛かるものと思われます。
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〝知りたい 聞きたい″ 革新軽水炉って?
しんぶん赤旗 2025年8月17日
Q 関西電力が美浜原発(福井県美浜町)の敷地で新増設を検討しているとされる「革新軽水炉」は、どんなものですか。(東京都・読者)
既存技術の延長上
A 関電の森望社長は先月、会見で美浜原発の敷地での後織機設置の検討のため調査を開始すると発表しました。判断にあたって「革新軽水炉」の開発状況や規制の方針なども考慮するとしています。
現在、日本にある発電用原子炉はすべて軽水炉です。軽水炉は核燃料の冷却や中性子の減速を普通の水(軽水)で行い、西日本を中心に運転している加圧水型炉(PWR)と東京電力福島第1原発のような沸騰水型炉(BWR)があります。
森社長は会見で、検討中の革新軽水炉について「PWRの新しくなったもの」と説明しました。
関電などPWRを利用する電力会社4社と三菱重工業は、革新軽水炉の一種とされる「SRZ-1200」の共同開発を進めており、基本設計はおおむね完了したといいます。これは、120万kw級の大型PWRで、建屋の耐震性を向上させ重大事故で炉心が溶融した場合に原子炉容器外に溶け落ちた炉心を捕捉する設備(コアキャッチャー)を備えるなど安全性を高めたとうたっています。しかし、基本的な設計は従来のPWRと変わりません。動かせば使用済み核燃料も増え続けます。
原子力規制委員会は、革新軽水炉の規制の予見性を高めたいという、電力事業者などからなる団体の要請を受け、昨年、実務レベルの意見交換会を設置。SRZ-1200を対象に、検討を進めています。しかし、規制委はこの原発を「建て替え炉」と呼び、その理由を規制委の山中仲介委員長は「本質的には既存の技術の延長上にある」と説明。また、「現行の規制基準の枠内で審査ができるもの」との認識を示しています。
建設には、1兆円規模が必要とされています。海外では、原発建設の長期化、高コスト化が顕著です。米国のボーグル3、4号機は昨年2基とも稼働しましたが、建設費は2基で4兆円を超え、地元はすさまじい電気代の値上げに見舞われています。
関電の森社長は会見で、原発建て替えには巨額となる投資回収の予見性確保が重要だとして、国に「事業環境整備」を求めていました。