2020年1月22日水曜日

「甲状腺検査」受診率が低下(詳報)

 21日付の記事「甲状腺検査の受診率が低下 データ信頼性に懸念」で共同通信の短い記事を紹介しましたが、21日、地元の福島民友と河北新報が取り上げましたので、詳報として紹介します。
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「甲状腺検査」受診率が低下 福島県部会、全国がん登録活用へ
福島民友 2020年01月21日
 東京電力福島第1原発事故と甲状腺がんの因果関係を調べる県の県民健康調査検討委員会の評価部会は20日、2016(平成28)年度から始まった3巡目検査の解析・評価に関する議論を始めた。この日は分析方法について、全国がん登録情報を活用するなどの方向性を決めた。

 新たな部会員4人が選任されて以来、この日が初会合となった。部会長には、2巡目検査に関する評価部会で部会長だった鈴木元氏(国際医療福祉大クリニック院長)を再任した。
 全国がん登録情報の活用は、甲状腺検査の受診率が低下する中、甲状腺がんの発見状況などを全国のデータと比べて整合性を調べる狙いがある。
 甲状腺検査の1次検査の受診率は1巡目が81.7%、2巡目が71.0%、3巡目が64.7%と低下。年齢別では、10~14歳が8~9割で推移する一方、20歳以上は1~3割程度だ。25歳時の節目を対象とした検査も9.6%で、年齢が高くなるにつれて低くなっている
 こうした現状に鈴木部会長は「いいか悪いかではなく、検診で得られるデータの信頼性が低下してくる。データを見極めないと容易に解析に入れない」として全国がん登録情報の活用について言及。甲状腺検査に関する県民の意識調査を実施したい意向も示した。次回以降、具体的な解析方法の議論を深める方針。
 これまでの評価部会は、甲状腺がんについて「放射線との因果関係は認められない」とする報告書をまとめている。


甲状腺3巡目検査 がんデータと対照して分析へ
河北新報 2020年1月21日
 福島県の県民健康調査で東京電力福島第1原発の事故当時18歳以下の人に実施する甲状腺検査の評価部会が20日、福島市であり、3巡目検査(2016~17年度)の分析を始めた。1、2巡目より受診率が低いため、県や国のがん登録データと対照して全体像を把握する方向性を確認した。

 県立医大が3巡目検査の結果を説明。対象の約34万人のうち約22万人が1次検査を受け、受診率は64.7%。2次検査で29人が悪性または悪性疑いと判定され、うち19人が手術でがんの確定診断を受けた
 委員からは「3巡目で(悪性、悪性疑いの)発見率がかなり落ちており、1、2巡目と比較分析する必要がある」「受診者が限られるなら、未受診者の情報も(がん登録データで)並行して把握することが重要」などの指摘があった。受診率は1巡目81.7%、2巡目71.0%だった。
 昨年7月の任期満了に伴い委員構成が変わり、委員8人のうち4人が新たに就任した。前任期の評価部会は2巡目の結果に関し「甲状腺がんと放射線被ばくの関連は認められない」との報告書を取りまとめた。