福島第1原発事故で中通りの6市町に住む主婦ら52人が東電に計約9900万円の損害賠償を求めた訴訟で、東電は福島地裁による和解案を拒否したということです。
これにより福島地裁は2月19日に判決を言い渡します。
原告側代理人の野村吉太郎弁護士は「東電が公言する『和解案の尊重』に反する対応。原発事故の責任を無視している」と非難しました。
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東京電力、福島地裁の和解案「拒否」 中通り52人集団賠償訴訟
福島民友 2020年01月09日
東京電力福島第1原発事故で精神的損害を受けたとして中通りの6市町に住む主婦ら52人が東電に計約9900万円の損害賠償を求めた訴訟で、東電が福島地裁(遠藤東路裁判長)による和解案を拒否したことが8日、原告側代理人への取材で分かった。東電は地裁と原告のいずれにも拒否の理由を明らかにしていない。
原告側代理人によると、東電が7日に和解勧告を拒否する方針を地裁に伝えた。地裁は昨年12月18日、原告と東電の双方に和解案を示していた。原発事故を巡る集団訴訟で和解勧告は初めてだった。原告は和解案を受諾する意向だったが、東電側の拒否により2月19日に判決が言い渡される。
地裁が示した和解案の内容は非公表だが、東電が支払う和解金を含む複数の条件が示されていた。
原告側代理人の野村吉太郎弁護士は「証拠を調べた上で裁判所が和解案を提示しており、裁判外紛争解決手続き(ADR)よりも重みがある」とした上で「東電が公言する『和解案の尊重』に反する対応。原発事故の責任を無視している」と非難。東電は「訴訟に関する内容については回答を差し控える」とした。
原告は福島、郡山、二本松、伊達、国見、田村の6市町に住んでいた52人。1人当たり約100万~約900万円の損害賠償を求め、2016(平成28)年4月に提訴した。原告側代理人によると、東電側は「低線量被ばく地域では賠償に値する法的な権利侵害はない」などとして請求棄却を求めていた。