2020年1月9日木曜日

09- 原発 テロ対策が未完で4基停止に 

 東京新聞がシリーズ<こうなる2020>で、20年度の原発関連の動きをまとめました。末尾に「表」が掲示されています。
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<こうなる2020>(5)原発 テロ対策未完、4基停止
東京新聞 2020年1月7日
 東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域のうち、福島県双葉町、大熊町、富岡町で三月上旬、区域内にあるJR常磐線の三つの駅周辺の避難指示が解除される。福島第一があり、全町避難が続く双葉町での避難指示解除は初めて。
 三駅は双葉、大野、夜ノ森。これに伴い、常磐線は不通が続く富岡(富岡町)-浪江(同県浪江町)間が三月十四日に開通し、原発事故から九年ぶりに全線開通する。ただ避難指示解除で自由に出入りできるのは、駅につながる道路や駅前広場のみで、住宅は含まれない。復興拠点全体の避難指示解除は、双葉、大熊の二町が二〇二二年春、富岡町は二三年春の見込み。

 原発の稼働は一八年以降、西日本にある五原発九基の態勢が続いてきた。二〇年は福井県に立地し、運転開始から四十年を超えた関西電力の高浜1号機と美浜3号機の事故対策工事が終わり、再稼働に向けた地元手続きに入る。ただ、関電は経営幹部の金品受領問題で原発立地自治体からの信用が揺らいでおり、再稼働が遅れる可能性がある。

 一方、テロ対策施設の完成が定められた期限に間に合わず、運転を停止する原発も相次ぐ。鹿児島県の九州電力川内(せんだい)1号機は三月、2号機は五月に、福井県の関電高浜3号機は八月、4号機も十月に停止する。いずれも停止期間は六カ月以上と長期となる見込み。

 原子力規制委員会は二月にも、東北電力女川(おながわ)2号機(宮城県)について、再稼働に必要な事故対策が新規制基準に適合していると正式決定する。東北電は二〇年度中に事故対策工事を終えるが、東日本大震災で津波被災した原発の再稼働に、地元自治体が同意するかが最大の焦点となる。
 事故収束中の福島第一では、前年からの二つの大きな作業が続く。3号機使用済み核燃料プールからの核燃料取り出しは一九年四月に始まったが、機器の不具合で半年ほど中断。核燃料五百体以上が残り、完了目標の二一年三月から遅れる可能性がある。1、2号機排気筒(高さ百二十メートル)を上から解体して半分にする作業も切断機器のトラブル続発で、完了目標が三月末から五月上旬となった。
 原子炉内に溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しは、当初2号機で年内に試験的採取が予定されていたが、二一年へ延期。政府と東電は、最難関である作業に向けた機器開発など準備を進める。 (小川慎一)
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