2020年1月13日月曜日

上関原発 広島高裁が2控訴審に近く判決

 中国電力上関原発の建設を巡り広島高裁が近く二つの控訴審判決を相次いで下します一つは地元漁師が予定地の海を埋め立てる免許取り消しを山口県に求めた訴訟で、一審では原告の適格がないと訴え却下されました。中電は海上ボーリング調査に乗り出そうとしましたが漁師の抗議で着手できないでいます
 もう一つは、一審山口地裁が、免許延長を巡り何度も判断を留保した点について一部違法とする判決を出した分で、県は一審破棄を求め、原告は一審判決を支持する一方「違法なのだから免許は失効し、今も違法な状態が続いている」と免許の違法性を明確にするよう求めています
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上関原発、注目の司法判断へ 広島高裁、2控訴審近く判決
中國新聞 2020/1/12
 中国電力上関原発(山口県上関町)の建設を巡り広島高裁が近く二つの控訴審判決を相次いで下す。15日は地元漁師が予定地の海を埋め立てる免許取り消しを県に求めた訴訟、22日は県知事が免許延長の判断を先送りし県に損害を与えたとする住民訴訟。国が原発建設の可否の判断を明らかにせず先行きが不透明な中、司法の判断が注目される

 予定地西4キロの祝島に暮らす漁師を原告とする訴訟は一審山口地裁が昨年1月、原告の適格がないと訴えを却下。控訴審で原告は予定地の海で長年漁業を営む点をあらためて強調する。2011年の福島第1原発事故の被害の大きさを指摘し埋め立てを認めないよう主張した。
 中電の埋め立て工事は福島の事故直後から中断したままだが、昨年に県が免許延長を許可した。中電は工事再開前に必要な海上ボーリング調査に乗り出そうとしたが、漁師の抗議で着手できないでいる。原告の岡本正昭さん(70)は「免許がある限り安心した生活が送れない」と憤る。
 08年の提訴から11年余。高齢で亡くなるなどで原告は32人減った。岡本さんは「10年かけて門前払いでは納得できない。せめて司法は真正面から向き合って」と訴える。
 一方、県は一審を妥当として控訴棄却を求める。国が原発建設への考えをはっきりさせない中、中電へ免許延長を認めたことへの批判に対し、国が重要電源開発地点として上関を指定し続けていると反論する。

 もう一つの住民訴訟で一審山口地裁は、免許延長を巡り何度も判断を留保した点について一部違法とする判決を出した。県は、あまりにも粗い判断と批判し一審破棄を求める。
 原発反対派は一審判決を支持する一方、免許延長の妥当性にまで踏み込んでいない点を批判。「違法なのだから免許は失効し、今も違法な状態が続いている」と主張し、高裁の判決理由で免許の違法性を明確にするよう求める。
 また、上関原発を巡っては他に自然保護団体などの原告が県に免許取り消しを求める控訴審が広島高裁で争われている。(堀晋也)