住民が避難した福島県の被災地で、タヌキやイノシシなどさまざまな種類の野生生物が豊富に繁殖していることが、米ジョージア大学の研究チームが実施した調査で明らかになりました。
同研究チームは、106台のカメラを立ち入り禁止区域、立ち入り制限区域、滞在が許可されている区域の3区域に設置し、120日間にわたり26万7000枚あまりの写真を撮影しました。
チームはチェルノブイリでも同様な調査を行っているということです。
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原発周辺の立入禁止区域、野生生物の宝庫に 福島で米大学が調査
CNN 2020.01.11
東京電力福島第一原発の事故を受けて住民が避難した福島県の被災地で、タヌキやイノシシなどさまざまな種類の野生生物が豊富に繁殖していることが、米ジョージア大学の研究チームが実施した調査で明らかになった。
2011年3月11日の地震と津波によって発生した福島第一原発の事故では、炉心溶融が起きて放射性物質が放出され、10万人以上が避難した。
ジョージア大学の研究チームは、この地域に生息する野生生物を遠隔カメラを使って観察。20種を超す野生生物の写真26万7000枚あまりを撮影した。
その結果、人が住まなくなった福島第一原発の周辺地域で、タヌキやイノシシ、ニホンザル、キジ、キツネ、ニホンノウサギなどが大量に繁殖していることを確認。「避難区域では放射性物質による汚染が存在しているにもかかわらず、膨大な種類の野生生物が繁殖していることが初めて証明された」としている。
撮影に使った106台のカメラは、汚染濃度が高いために人の立ち入りが禁止されている区域と、中程度の汚染により立ち入りが制限されている区域、および滞在が許可されている区域の3区域に設置した。
120日間で撮影したイノシシの写真は4万6000枚。このうち2万6000枚以上は立ち入り禁止区域で撮影された。一方、制限区域でイノシシをとらえた写真は約1万3000枚、人が住む区域で撮影された写真は7000枚にとどまった。
タヌキやテン、ニホンザルも、立ち入り禁止区域や制限区域の方が生息数が多かった。
研究チームは放射性物質が野生生物全体に与える影響についても観察しているが、それぞれの個体の健康状態に関する評価は行っていない。
同研究チームがかつて調査対象としたチェルノブイリでも、原発事故後に野生生物が繁殖していた。