佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長(63)が、2018年7月の町長選直後に、福井県敦賀市の塩浜工業側から現金100万円を受け取っていたことが分かりました。町長は「賄賂をもらったような気分だった。後ろめたい気持ちがずっとあった」と述べ、政治資金収支報告書には記載せず金庫に「保管」し、昨年12月中旬、原発マネー還流の問題がクローズアップされたのを機に人を介して返金しました。
九州電力への仲介など便宜を図ったことはないと、便宜供与は否定しています。
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佐賀・玄海町長に100万円 原発工事受注へ便宜期待か
共同通信 2020/1/23
九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長(63)が初当選直後の2018年7月、福井県敦賀市の建設会社「塩浜工業」側から現金100万円を受け取っていたことが22日、分かった。塩浜工業は、原発立地自治体のトップは電力会社に影響力を持つと考え、原発関連工事受注への便宜を期待した可能性がある。原発利権を巡る不適切な資金のやりとりがまた明らかになった。
脇山氏は共同通信の取材に現金受領を認め、「ずっと返すつもりでいた。便宜は図っていない」と釈明。昨年12月以降になって返還できたとし、進退については後援会などと相談する必要があると述べた。
佐賀・玄海町長「県民にも迷惑、反省」 原発マネー不透明印象づけ
毎日新聞 2020年 1月24日
九州電力玄海原発が立地する佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長は23日、福井県敦賀市の建設会社「塩浜工業」から現金を受け取ったことを記者会見の場で認め、「町民、県民にも迷惑をかけたことを反省し、おわびする」と頭を下げた。脇山氏は同社への便宜供与は否定したが、返金の仲介者は死亡したと説明。関西電力などの金品受領問題に続き、原発マネーの不透明さを改めて印象づけた。【関東晋慈、竹林静】
問題の発覚を受け、県庁で報道陣の取材に応じた山口祥義知事は23日午前、「町長が説明責任を果たすということに尽きるのではないか」と語った。知事自身の金品受領については「私は一切もらっていない」と否定。「原発に関しては県民との信頼関係が何よりも大事。少しでも疑念を持たれると政治家としての発言が信用されなくなる。疑われることがないよう丁寧に対応している」と強調した。
福井県幹部らの金品受領問題を巡っては、19年の県議会11月定例会で議論が交わされた。同年12月5日の一般質問で、進龍太郎・総務部長は「チェックシートによる検証で県民の疑惑を招く行為を行っていないかも確認しており、現時点で該当者はいないと把握している」と答弁している。
県人事課によると、県は07年3月にコンプライアンス基本方針を定め、全職員を対象に法令順守などに関する調査を年4回実施。「利害関係者からサービス供与、金銭、物品の供与を受けていないか」とのチェック項目があり、19年12月の最新の調査でも該当者はいなかったという。
◇脇山町長の記者会見での主なやりとり
——塩浜工業の玄海町での過去の工事実績は。
私も調べていないが、(現金を)もらった時に初めて知った名前で、玄海町に絡んだ仕事をしているとは聞いたことがない。玄海原発で仕事をしているとも聞いたことがない。
——現金を受け取った時になぜ塩浜工業と分かったのか。
自宅に来て、私は「いりません。持って帰って」と何度も言ったが、「社長に怒られる」と置いていった。のし袋の中に名刺があったので塩浜工業と分かった。社長の名刺が入っていた。
——相手のどういう意図を感じたか。
その時は何も思わなかった。町長になったらこういうことがあるのかとびっくりした。
——政治資金収支報告書に記載しておらず政治資金規正法に抵触しているのでは。
そう言われれば仕方ないと思う。一時的な預かり金で、戻すべきと思っていたので収支報告書にも書いていない。脇が甘かった。
——他に金品などのやりとりは。
ない。塩浜さんが持ってきたこと自体がびっくりしたし、もしかしたら他にも持ってくるのかなと思ったが、それはなかった。