経産省や資源エネルギー庁の幹部らが昨年1月から今年1月の約1年間で、自治体関係者や県議らとの「意見交換」などの目的で計80回、新潟県に出張していたことが分かりました。そのうち半数以上は9月以降で、この時期は柏崎刈羽原発7号機の再稼働に必要な全審査が「合格」となる局面でした。政府が再稼働への地元理解を得ようと「地ならし」に入っていた可能性があります。
25日の衆院予算委で共産党の藤野保史衆院議員(比例北陸信越)が明らかにしました。
再稼働を議論する前提となる原発の安全性を巡る新潟県独自の「三つの検証」がまだ終わっていない段階で、自治体関係者らが経産省やエネ庁の幹部が水面下でと頻繁に会っていたことはやはり不健全です。
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エネ庁幹部ら1年で80回来県 柏崎原発再稼働へ地ならしか
新潟日報 2021/02/26
原発の再稼働政策を進める経済産業省や資源エネルギー庁の幹部らが昨年1月から今年1月の約1年間で、自治体関係者や県議らとの「意見交換」などの目的で計80回、新潟県に出張していたことが25日、分かった。そのうち半数以上は9月以降だった。この時期は、原子力規制委員会による東京電力柏崎刈羽原発7号機の再稼働に必要な全審査が「合格」となる局面で、政府が再稼働への地元理解を得ようと「地ならし」に入っていた可能性がある。
本県では、花角英世知事が同原発の再稼働を議論する前提とする、原発の安全性を巡る県独自の「三つの検証」はまだ終わっていない。それにもかかわらず、再稼働を進める立場の経産省やエネ庁の幹部が水面下で自治体関係者らと頻繁に会っていたことは県民から疑念を持たれかねない。
25日の衆院予算委員会で共産党の藤野保史衆院議員(比例北陸信越)が、経済産業省から提出を受けた資料を基に明らかにした。
資料によると資源エネルギー庁の保坂伸長官が4回来県しており、いずれも9~11月だった。ほかに高橋泰三・前長官が1回、平井裕秀次長が2回、小沢典明首席エネルギー・地域政策統括調整官が5回、その他の同庁と経産省の幹部職員らが計68回、本県に出張していた。この中には、複数人で共に来県したケースも含まれている。
訪問相手は自治体関係者が最も多い50回超で、地元経済団体関係者や県議も多かった。出張の目的は「意見交換等」がほとんどで、ほかに柏崎刈羽原発の視察や原子力防災訓練への参加があった。
東電が再稼働を目指す同原発7号機の全審査が終了したのは昨年10月30日。その2カ月前の審査最終局面から回数が増え始め、9月以降だけで半数以上の42回を占めた。
藤野氏は25日の予算委でこの問題を取り上げ「ほぼ1週間に1回、幹部が新潟入りしていることになる。ほかの原発立地地域にはないことだ」と指摘。面会の目的をただした。
梶山弘志経産相は「事業者だけでなく国も前面に立ち、原子力について地元や国民の理解が深まるように丁寧に取り組むことが重要だ。立地地域の関係者とはエネルギー政策を巡る課題について常日頃から意見交換している」と述べた。
エネ庁は同日、新潟日報社の取材に対し「新潟への訪問回数は多い方だが、同程度の地域もある。突出して多いわけではない」と説明した。
(後 略)