2021年2月10日水曜日

復興庁発足9年 施策の遅さ指摘の声

 福島復興の司令塔である復興庁は10発足から9年を迎えます。

 帰還困難区域を抱える町村は、避難指示解除の目標時期早期提示を繰り返し求めていますがゼロ回答であるなど、政策決定の遅さを指摘する声があり、首相直属の機関として他省庁より上位に位置付けられている復興庁のリーダーシップがあらためて問われています
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復興庁発足9年 施策の遅さ指摘の声 問われる首相直属機関
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 復興庁は十日、発足から九年を迎える。設置期限は二〇三一年三月末まで十年間の延長が決まったが、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの本県復興には課題が山積している。「復興の司令塔」としての窓口・調整機能には定評があるものの、政策決定の遅さを指摘する声もある。首相直属の機関として他省庁より上位に位置付けられている復興庁のリーダーシップがあらためて問われる
 帰還困難区域のうち住民の居住再開を目指す特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域を巡っては、除染や家屋解体の方針、避難指示解除の目標時期が決まっていない。帰還困難区域を抱える町村は早期提示を繰り返し求めているがゼロ回答のままだ。
 復興拠点外の除染や家屋解体について菅義偉首相は四日の衆院予算委員会で「やらないとは言っていないのではないか」と含みを持たせたが、具体的な方針や時期には言及しなかった。この状況に対し「ワンテンポ遅い。先送りが多い」(本県選出国会議員)との批判がある。

 平沢勝栄復興相(福島高出身)は九日の閣議後記者会見で「(帰還困難区域は)福島県の面積の2・4%もある。誰が考えてもおかしい」として将来的な全面の避難指示解除に意欲を示した。ただ、解除の在り方については「(所管する)経済産業省がしっかり考える。私も気を付けてフォローしていく」と述べるにとどめた。
 避難指示が解除された市町村の多くは住民の帰還が進んでいない。被災地に新たな産業を集積し、移住・定住を促進するには、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の実現、国際教育研究拠点の整備も待ったなしだ。
 二〇二一(令和三)年度からの「第二期復興・創生期間」の五年間に必要な復興事業費の本県分は約一兆一千億円。これとは別に復興拠点外の対応費、国際教育研究拠点の整備費、移住・定住促進費などに計一千億円を用意するが、事業の本格化に伴い追加で必要になる予算は膨らむとみられる。