2021年2月14日日曜日

泊再稼働審査 断層以外も課題は多い(北海道新聞)

 北海道電力の泊原発再稼働審査で原子力規制委は焦点だった敷地内断層について「活断層ではない」という北電の主張を事実上了承する方向を示しました。
 ただし積丹半島北西沖の活断層を想定した地震や津波、火山活動などの評価は短期間で終わりそうにないということです
 北海道新聞は社説で、「原発に傾斜する経営姿勢は福島事故に真摯に向き合う気があるのか疑う。立ち止まり電源構成分散の検討に入るべきだ」と述べました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
社説 泊再稼働審査 断層以外も課題は多い
                           北海道新聞 2021/02/13
 北海道電力の泊原発再稼働審査で原子力規制委員会はきのう、焦点だった敷地内断層について「活断層ではない」という北電の主張を事実上了承する方向を示した。
 ただ、この日の会合では、データが不足しているとして追加提出を求め、最終判断を先送りした。
 7年半も続く審査長期化の中、北電にとっては一歩前進する形だろう。だが、義務づけられたテロ対策施設新設も含め安全面で解決すべき課題はなお多く、展望が開けるわけではない。
 断層に関しても現地調査で何度も問題点を指摘されながら、対応が遅れてきた。泊原発関連の不祥事も多く、北電の適格性にも疑問符がついたままだ。
 原子力と老朽火力に偏った電源構成のままでは道民は将来的に心もとない。再生可能エネルギーの主力化に軸足を移し、脱原発の道筋も探るよう求めたい
 問題となったのは敷地内の「F―1断層」だ。2年前に規制委が「活断層であることを否定できない」と見解を示し審査が続いた。
 福島原発事故後に定めた新規制基準では、12万~13万年前よりも新しく活動した断層を活断層とみなし、原子炉など重要施設が真上にあれば再稼働できない。
 F―1は重要施設の直下を通っていないが、活断層と認定されれば耐震設計を抜本的に見直さねばならず、膨大な追加費用が経営基盤を揺るがすのは必至だった。
 きのうの会合で規制委は、F―1より上部の地層が「33万年前よりも古い」などとする北電の主張に対し「総合して可能性が高くなってきた」と位置づけた。次回会合で正式判断する見通しだ。

 とはいえ課題はなお多い。積丹半島北西沖の活断層を想定した地震や津波、火山活動などの評価は短期間で終わりそうにない
 泊を巡っては、非常用発電機の不具合が放置されていたり、大気中に放出する気体状の放射性廃棄物の量を31年間過少報告したりする不祥事が明らかになっている。
 新規制基準では、航空機を衝突させるテロ攻撃を受けても、遠隔操作で原子炉に冷却水を注ぎ込んで制御することなどを求める。北電が運用できるのか不安は募る。
 原発運転期間は原則40年で1、2号機は約10年以内に期限切れとなる。北電は再稼働前に延長方針を表明したが、性急に過ぎる。

 原発に傾斜する経営姿勢は、福島事故に真摯(しんし)に向き合う気があるのかすら疑う。立ち止まり電源構成分散の検討に入るべきだ。