2021年2月8日月曜日

豪雪時に原発事故が起きたら … とても避難できない

 柏崎刈羽原発から5キロ圏の住民は原発の過酷事故の場合は即時に避難し、5~30キロ圏内の住民は屋内退避後、空間放射線量率が基準を超えた時点で避難します。
 上越市は今年豪雪に見舞われ、自宅の前に人力では除雪できないほどの雪が積もり、多くの地域1週間ほど車を出せない事態になりました。
 通行不能は生活道路だけでなく、北陸道が最初に通行止めとなり、国道8号に車両が集中したため各地で立ち往生や大規模渋滞が相次ぎ、市内の交通網はまひ状態りました
 これでは原発で過酷事故が起きてもとても避難できません。
 上越市原子力防災対策室の白石聡室長は、「国や県と共に、大雪を考慮した緊急時の対応について検討している」ものの、方向性がまとまるめどは立っていないということです。
 それを解決しないまま再稼働に入るのは論外で、それを解決することは絶対的条件になります。
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豪雪時に原発事故が起きたら… 上越の30キロ圏内 避難に懸念
                        新潟日報 2021/02/08
 豪雪に見舞われた新潟県上越市では、除雪が追いつかず交通が遮断され、市民の往来や物流に大きな影響が出た。隣接する柏崎市に立地する東京電力柏崎刈羽原発から30キロ圏内となる柿崎区や吉川区などの住民からは、「万が一の際に身動きが取れない」と懸念する声が上がっている。市職員が庁舎に出勤できなかったケースも相次ぎ、避難対応が十分に行えない恐れも浮き彫りとなった。
 上越市では、柿崎、吉川両区の全域と、浦川原、大島、大潟各区の一部が、原発から5~30キロ圏内の避難準備区域(UPZ)に含まれる。原発事故で放射性物質が放出された場合、原則的には屋内退避となるが、空間放射線量率が基準を超えた場合は避難の必要がある。
 今回の豪雪では、国県市は国道や県道など幹線道路の除雪を優先し、生活道路の除雪は後回しとなった。自宅の前に人力では除雪できないほどの雪が積もり、1週間ほど車を出せない地域が多かった。物流も滞り、市内のスーパーやコンビニでは1月15日ごろまで品薄状態が続いた。
 吉川区原之町の商店街でも、ガソリンなどの物資が一時不足した。菓子店経営男性(60)は「車を動かすどころか、駐車場をきれいにする除雪機も使えない。避難しろと言われても無理だ」と困惑する。
 1月11日に175センチの積雪を観測した柿崎区の中心部に住む主婦(50)は、「屋内退避を続けても、いずれは食料が底をつく。大雪と原発事故が重なったらどうすればいいのか」と危惧する。自閉症のある長男(25)がおり、「大きなストレスを感じ、精神的に不安定になるかもしれない」と悩む。
 UPZ内の住民の避難先は、主に旧上越市域の学校や体育施設などを想定している。また、原発が立地する柏崎市や刈羽村の住民が、国道8号や高速道路の北陸道を使い、上越市や糸魚川市などに避難することも見込まれている。
 しかし、今回の豪雪では北陸道が最初に通行止めとなり、国道8号に車両が集中。各地で立ち往生や大規模渋滞が相次ぎ、市内の交通網はまひ状態となった
 避難所の開設や住民の誘導を担う各区の総合事務所では、遠隔地に住む職員が出勤できなかったり、泊まり込みを余儀なくされたりした。
 大潟区総合事務所は職員22人中、3人が4日間出勤できなかった。熊木正茂所長は、「近隣に住む本庁所属の職員に手伝ってもらい、何とか仕事を回した」と振り返る。
 吉川区総合事務所でも数人が出勤不能となった。大場正弘所長は「出勤できたとしても、除雪が進まなかったので車移動ができない。そんな状態で原発事故が起こったりすれば、とても手が回らないだろう」とみる。
 上越市原子力防災対策室の白石聡室長は「国や県と共に、大雪を考慮した緊急時の対応について検討している」とするが、方向性がまとまるめどは立っていないという。
 上越市防災士会柿崎支部の佐藤健・支部会長(76)=柿崎区上下浜=は「原発事故との組み合わせでいえば、大雪は一番面倒な災害。要援護者をどう救出するか、しっかり研究する必要がある」と語った。

◎東電、9日に住民説明会
 東京電力は9日、柏崎刈羽原発の再稼働に向けた安全対策工事などに関する住民説明会を、上越市の上越文化会館で開く。豪雪時の避難対応などについて参加者の質疑に応じる。
 東電新潟本社の橘田昌哉代表、柏崎刈羽原発の石井武生所長らが出席。所員による原発中央制御室への不正入室や、7号機の安全対策工事が完了していなかった問題などについて説明する。
 午後6時~8時。事前申し込み不要。新型コロナウイルス対策として、参加を県内在住者に限定し、先着200人程度を定員とする。

            大型車の立ち往生により渋滞した国道8号=1月7日、上越市柿崎区