柏崎刈羽原発所員が原発中央制御室に不正な方法で入った問題で、原子力規制庁がこの問題を把握したのは、原子力規制委昨年9月に同原発の保安規定変更案の「合格」を認める前であることが分かりました。
規制委は20年の9月23日に保安規定変更案の「合格」を認めましたが、規制庁が東電から報告を受けたのはその前々日の21日で、規制庁が規制委委員長に報告したのは1月19日でした。
規制庁が、規制委が保安規定変更案の可否を判断する前に報告しなかったのだとすれば、規制庁の公正さが問われます。
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柏崎原発「合格」前に規制庁把握か 不正入室 昨年9月、規制委に報告せず
新潟日報 2021/02/06
東京電力柏崎刈羽原発所員が原発中央制御室に不正な方法で入った問題で、原子力規制委員会が昨年9月に同原発の保安規定変更案の「合格」を認める前に、規制委の事務局である原子力規制庁がこの問題を把握していた可能性があることが5日、分かった。規制庁はすぐに規制委に報告しなかった。変更案の主要な論点は、福島第1原発事故を起こした東電に原発を再び動かす「適格性」を担保させることだった。規制庁が、この適格性に疑義を生じさせかねない事実を知りながら、重要な判断を控える規制委に報告しなかったのだとすれば、審査の実務を担う規制庁の公正さが問われる。
規制委がこの保安規定変更案を認めたことで、同原発7号機の再稼働に必要な全ての審査が事実上「合格」となった。不正入室問題が規制庁に飛び火したことで、7号機を「合格」とした審査の妥当性にも影響を与えそうだ。
東電によると、昨年9月20日に不正入室が行われ、東電は翌21日にこの事案を把握。同日中に原子力規制庁の担当部門に報告したという。
一方、規制委は、規制庁がこの問題を把握したとされる2日後の23日、柏崎刈羽原発の保安規定変更案を了承した。
ただ、規制委の更田豊志委員長は今年1月27日の会見で、規制庁から不正入室問題の報告を受けたのが1月19日だったと明らかにした。5人の委員全員が集まる場で伝えられたのは同26日だったと説明した。
規制委が保安規定変更案を了承した時点で、委員全員が不正入室問題について知らなかったことになる。
焦点は、規制庁がいつ東電から不正入室問題について報告を受けたかだ。しかし、規制庁は5日、新潟日報社の取材に対し、報告を受けた日付を明らかにしなかった。一連の問題に関して、8日に行う規制委の臨時会議で取り扱うとの理由から「現時点では答えられない」とした。
5日に県庁で会見し、この問題を指摘した地域政党「緑・にいがた」代表の中山均新潟市議は「規制庁の隠蔽(いんぺい)と言っても過言ではない。組織体制が厳しく問われなければならない」と話した。