2021年2月26日金曜日

IAEA 福島第一原発 トリチウムなど含む水の処分に協力の考え

 IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長はNHKの単独インタビューに応じ、福島第一原発でたまり続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分について、「われわれは日本政府の決定を待っていて、決定されれば協力できる」と述べました。

 因みにIAEAは基本的に原発推進の立場で、政府が処分方法を決定した場合、地元や周辺国の懸念の声などに対応するため、IAEAが処理水質のモニターするなどで協力していく考えを示したものです。
 
 なおIAEAの去年の年次総会で韓国の代表は、処理水を海に放出すれば隣国の環境にも影響が出かねないとしたうえで「日本政府は決定を下す前に、韓国など国際社会に、透明性があり具体的なコミュニケーションをとる義務がある」と主張しました。
 日本側は、まだ水の処分方法は検討中だとしたうえで「日本政府は適切な方法で国際社会と情報を共有している。IAEAに対しても全面的に協力してきた」と反論しています。
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IAEA 福島第一原発 トリチウムなど含む水の処分に協力の考え
                     NHK NEWS WEB 2021年2月25日
IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、東京電力福島第一原子力発電所でたまり続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分について、日本政府が処分方法を決定した場合、地元や周辺国の懸念の声などに対応するため、協力していく考えを示しました。
IAEAのトップ、グロッシ事務局長は24日、本部があるオーストリアの首都ウィーンでNHKの単独インタビューに応じました。
福島第一原発のタンクにたまり続けているトリチウムなどの放射性物質を含んだ水の処分をめぐっては、国の小委員会が、基準以下の濃度に薄めるなどしたうえで、海か大気中に放出する方法が現実的だとする報告書をまとめ、政府が処分方法を検討しています。
これに対して漁業関係者などからは風評被害を懸念する声があり、隣国の韓国も懸念を示しています。
これについてグロッシ事務局長は「地元の人や周辺国が懸念を示す難しい状況を考慮すると、IAEAの存在が重要だ」と述べ、国際機関であるIAEAが技術的な観点から協力できるという考えを示しました。
そのうえで「われわれは日本政府の決定を待っていて、決定されれば協力できる」と述べ、日本政府が処分方法を決定した場合、地元や周辺国の懸念の声などに対応するため、協力していく考えを示しました。
具体的には、放出した処理水をIAEAがモニターして公表する仕組みなどについて日本側と協議しているということで、これについてグロッシ事務局長は「詳細はまだ言えないが、合同チームをつくって実施していく考えだ」と述べました。

グロッシ事務局長 去年 福島第一原発を視察
おととし12月に就任したIAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、1年前の去年2月、就任後初めて日本を訪問しています。
この訪問でグロッシ事務局長は、東京電力福島第一原子力発電所を訪れ、原子炉を視察して、東電側から廃炉に向けた進捗(しんちょく)状況について説明を受けたあと、焦点の1つとなっているトリチウムなどの放射性物質を含む水についても放射線量などの説明を受けました。
また、東京では当時の安倍総理大臣とも会談し、福島第一原発の廃炉や汚染水対策をめぐりIAEAとしても協力していく意向を伝えていました。

トリチウムなど含む水の処分 IAEAの年次総会でも討論に
東京電力福島第一原子力発電所にたまり続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分をめぐっては、IAEAの本部があるウィーンで開かれる年次総会で、おととしに続き去年も韓国の代表が日本の対応に懸念を示しています。
この中で韓国の代表は、処理水を海に放出すれば隣国の環境にも影響が出かねないとしたうえで「日本政府は決定を下す前に、韓国など国際社会に、透明性があり具体的なコミュニケーションをとる義務がある」と主張し、日本の対応に懸念を示しています。
そして、IAEAに対して、処理水の対応で具体的な役割を果たすよう求めました。
これに対し日本側は、まだ水の処分方法は検討中だとしたうえで「日本政府は適切な方法で国際社会と情報を共有している。IAEAに対しても全面的に協力してきた」と反論しています。