2021年6月15日火曜日

15- 海洋放出「社会の合意形成が課題」 原子力学会長が見解

 日本原子力学会の中島健会長は7日付で。処理水の海洋放出を実行可能でリスクが少ない選択だとし「海洋放出処分の速やかな実施を提言する」とした見解を公表していましたが、12日、同学会が開いたオンラインセミナーに参加し、洋放出する政府方針を巡り「社会の合意形成が特に重要な課題だと考える。地元の意見を聞き、それを適切に今後の方針に反映する仕組みが必要ではないか」との考えを語りました。

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処理水の海洋放出「社会の合意形成が課題」 原子力学会長が見解
                         福島民友 2021年6月14日
 日本原子力学会の中島健会長は12日、東京電力福島第1原発で発生する処理水を海洋放出する政府方針を巡り「社会の合意形成が特に重要な課題だと考える。地元の意見を聞き、それを適切に今後の方針に反映する仕組みが必要ではないか」との考えを語った。
 同学会が同日開いたオンラインセミナーに参加し、学会としての見解を説明した。学会は処理水の処分について、7日付で見解を公表。処理水の海洋放出を実行可能でリスクが少ない選択だとし「海洋放出処分の速やかな実施を提言する」とした。
 その上で、地域の理解や風評被害の問題を巡り社会の合意形成が重要であることや、長期的・総合的な視点で廃炉戦略を構築することの必要性を指摘している。
 中島会長は社会の合意形成について「一方的な説明だけでなく、相手の意見を聞く対話が必要。原子力関係の分野ではなかなかできていないのではないかとの批判を受けることがあるので、しっかりお願いしたい。学会としても協力していく」と語った。
 海洋放出について「廃炉をスムーズに進め、地元の復興のための作業を遅延させないために速やかに実施してほしい」とも述べ「学会としては専門的な知見を提供、発信し、工学的、社会的課題の解決に向けた国などの取り組みに協力する」と考えを語った。
 また国際的関心が高い問題であるため「国内だけでなく、海外の協力関係にある学会と連携して進めたい」とも語った。

安全管理などを議論
 日本原子力学会福島第1原発廃炉検討委員会は12日、東京電力福島第1原発の廃炉を巡る問題を議論するオンラインのシンポジウムを開いた。専門家が廃炉の安全管理やロボット技術、建屋の耐震性評価などについて発表した。
 中央大の大隅久教授(ロボット工学)は、廃炉の現場のロボット技術の課題として遠隔操縦の難しさを指摘し「何かをつかむ作業などは難しく、これから工夫が必要だ。腕がばねになっている『筋肉ロボット』はそうした問題を解決する良いアイデアのロボットだ」と語った。