2021年6月20日日曜日

東電がトリチウム分離技術を公募 福島原発の処理水問題で

 福島原発のトリチウム汚染水について、東電は、将来的に目指す分離技術としてトリチウムを取り除く技術で実用化できるものがないか公募を行っていることが分かりました

 文脈的に見て政府が4月に海洋放出を決めたこととは無関係の話のようです。
 本来ならそれは経産省小委員会で検討すべきものでしたが、そこでは何も行わず「実用化レベルの分離技術は現時点で確認されていない」としたこともあり、菅首相の海洋放出にするという強引な発言もあって政府は放出めたのでした。
 小委員会では下記の処分方法について検討を重ねた結果海洋放出に決めた筈ですが、どんな検討をした結果そうしたのかは全く分かりません。単に最も容易で費用も安いからということで決めたかのようにしか思えません。

   トリチウム含有水 処分方法

処分方法

前処理

処分期間(月)

監視期間(月)

処分費用(億円)

地層注入

なし

69~102

456~912

177~180

希釈

85~156

処分期間中

501~3976

海洋放出

希釈

52~88

処分期間中

17~34

水蒸気放出

なし

75~115

処分期間中

227~349

水素放出

なし

68~101

処分期間中

600~1000

地下埋設

なし

62~98

456~912

1219~2533

 東電が本気で新しい除去技術を追求するというのであれば、まずは公募の結果を待つべきで、海洋放出は現行のまま行うというのであれば単なるゼスチュアということになります。

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東電 トリチウム分離技術を公募 福島原発の処理水問題で
                     NHK NEWS WEB 2021年6月20日
基準以下に薄めて海に放出する方針が決まった福島第一原子力発電所のトリチウムなどを含む処理水について、東京電力は、トリチウムを取り除く技術で実用化できるものがないか公募を行っています。
福島第一原発の処理水に含まれる放射性物質のトリチウムは、性質上、水から取り除くのが難しく、処分方法の検討を行ってきた専門家でつくる経済産業省の小委員会も「実用化レベルの分離技術は現時点で確認されていない」とし、最終的に政府は、海水で基準を下回る濃度に薄めたうえで海に放出する方針を、ことし4月決定しました。
しかし、海洋放出には地元などから風評被害を心配する声が根強く、東京電力は、トリチウムを取り除く技術で実用化できるものがないか検討は続ける必要があるとして、技術の公募を始めました
東京電力は、将来的に目指す分離技術として、トリチウムの濃度を1000分の1以下にできることや、1日当たり50から500立方メートルを処理できることなどを求めています。
公募で企業や研究機関などから提案があった技術は、第三者機関として選ばれた民間の企業が評価し、実用化の可能性が確認できた場合には、東京電力が実証試験などを行って実用化を目指すということです。