中国広東省の台山原発から放射性希ガスが大気中に放出された問題で、中国当局は16日、同原発の燃料棒の破損により冷却材中の放射性物質の濃度が上昇したと発表しました。原子炉内の沸騰水(百数十℃)は核燃料に対しては冷却する役割を兼ねているので、原発業界語で「冷却材」と呼ばれます(勿論一般の「冷却水」ではありません)。
炉内水は完全密閉状態で循環するので系外に漏れることはなく、一部希ガスが大気中に漏れたのは、炉内水と平衡状態にあった成分が通常の一部排気に伴って漏れたものです。
破損した本数は6万本余りの燃料棒のうち「5本前後」で、それ自体は正常な範囲と見られるので、秘匿していたと特に責め立てるような問題ではありません。
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中国、原発の燃料棒破損と発表 放射性物質の濃度が上昇
共同通信 2021/6/16
【北京共同】中国広東省の台山原発から放射性希ガスが大気中に放出されたと報じられた問題で、中国生態環境省は16日、同原発の燃料棒の破損により冷却材中の放射性物質の濃度が上昇したと発表した。情報公開を求める国際世論に押される形で、問題が起きていたことを初めて認めた。技術や安全面の基準は満たしていると強調した。
中国は海外メディアが報じるまで関連の情報を公表していなかった。中国は原発の拡大路線に傾いており、管理の不透明さに懸念が強まりそうだ。
発表によると、問題が起きたのは台山原発1号機の原子炉内で、6万本余りの燃料棒のうち「5本前後」が破損した。
中国、原発で燃料棒破損し放射線量上昇と公表…漏えいは否定
読売新聞 2021年6月16日
【香港=吉岡みゆき】米CNNが放射性物質の漏出疑惑を報じた中国広東省の台山原子力発電所について、中国生態環境省は16日、公式サイトで、同原発1号機の原子炉で燃料棒の破損があり、冷却水中の放射線量が上昇したと明らかにした。
同省は、破損したのは6万本超の燃料棒のうち5本程度だったと説明。原子炉の密閉性は基準を満たしており、同原発周辺の環境に異常はないことから「周辺への漏えい問題は存在していない」と強調した。
同省は、記者の質問に回答する形式で見解を表明した。しかし、CNNがこの問題を報じるまで、燃料棒破損などの情報を公表していなかったことになり、今後、原発管理のあり方などが問われそうだ。
中国・台山原発「燃料棒の破損で放射性物質の濃度上昇」
TBS 2021年6月16日
アメリカのCNNテレビが「中国の原子力発電所から放射性物質が漏えいしている」と報じたことについて、中国政府は「燃料棒の破損の影響で放射性物質の濃度が上昇している」と明らかにしました。
CNNは中国南部・広東省の台山原発で「放射性物質が漏えいしている」として、運転に関わるフランス企業がアメリカ政府に協力を求めた、と報じました。
この報道を受け、中国の生態環境省は16日、「冷却材の放射性物質の濃度が上昇したが、安全運転の基準は満たしている」「濃度の上昇は主に燃料棒の破損に関係している」などとする談話を発表しました。
談話の中で「原発の運転中には少量の燃料棒の破損は避けられず、一般的な現象だ。関連データによると、世界の多くの原発では、燃料棒が破損しても運転を継続した経験がある」と主張。「炉心には6万本以上の燃料棒が装填されているが、破損したのは5本前後と推定され、破損率の上限(0.25%)を大きく下回っている」としています。(16日18:44)