福島原発事故で福島県から新潟県に避難した住民らが、国と東電に慰謝料などを求めた訴訟で、原告側は14日、新潟地裁の判決を不服とし、東京高裁に控訴しました。
2日の一審判決では、国の責任を否定し、東電に対して、避難指示区域外の原告へは大人1人当たり約23万円の慰謝料を命じるケースが多く、区域内の原告のうち約9割は請求が棄却されました。
控訴審では国の責任を追及するとともに、一審で認められた金額に加え、1人当たり300万円総額約26億円の慰謝料を求めます。
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原発避難者訴訟 原告が控訴 「被害に向き合い評価を」
新潟日報 2021/06/14
東京電力福島第1原発事故で福島県から新潟県に避難した住民らが、国と東電に慰謝料などを求めた訴訟で、原告側は14日、国の責任を否定し東電にのみ一部賠償を命じた新潟地裁の判決を不服とし、東京高裁に控訴した。原告約790人が総額約25億6400万円を求めた。原告側弁護団は記者会見で「高裁にはそれぞれの避難者の被害に向き合って評価してもらいたい」と訴えた。
一審では約800人が1人当たり慰謝料1千万円などを求めたが、2日の新潟地裁判決では、国の避難指示区域外の原告へは1万1千円~33万円の慰謝料の支払いを命じ、大人1人当たり約23万円のケースが多かった。区域内の原告のうち約9割は請求が棄却された。
弁護団は控訴審では国の責任を追及し、被害の実態に見合った賠償の必要性を訴える方針だ。一審で認められた金額に加え、1人当たり300万円を求める。近藤明彦事務局長は一審で原告の代表が法廷で被害を訴えたことに触れ、「地裁判決には尋問で訴えた具体的な被害が書かれていない。高裁では被害をしっかりと評価してもらいたい」と力を込めた。
原告のうち約10人は「続けることが負担」などの理由から控訴しなかった。このうち請求がすべて棄却された人は判決が確定する。
原告側控訴について、被告の東電広報部と原子力規制庁はいずれも「コメントは差し控える」とした。東電は「判決内容を精査し対応を検討している。控訴期限までに結論を出したい」とし、規制庁は「控訴状が届けば、法令にのっとって適正に対応する」としている。