2021年6月2日水曜日

裁判官が初めて原発の敷地内視察へ 東京地裁 株主訴訟で

 東京電力の株主50人余りが、福島第一原発の事故をめぐって、旧経営陣5人に対し、会社に賠償するよう求めている裁判では、株主側が裁判官に現地視察を求めていましたが、東京地裁は10月に裁判官による現地敷地内の視察を行うことを決めました

 裁判官による周辺地域の視察はたびたび行われていますが、敷地内への立ち入りは今度が初めてになります。
 株主側の海渡雄一弁護士は「判決にプラスに働くと確信している」と話しています。
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裁判官が初めて原発の敷地内視察へ 福島第一原発事故の裁判
                      NHK NEWS WEB 2021年6月1日
福島第一原発の事故の責任をめぐる裁判で、東京地方裁判所は、ことし10月に裁判官による現地視察を行うことを決めました。裁判官が原発の敷地内を視察するのは初めてになります。
東京電力の株主50人余りが、福島第一原発の事故をめぐって、旧経営陣5人に対し、会社に賠償するよう求めている裁判では、株主側が裁判官に現地視察を求めていました。
これについて1日、東京地方裁判所で開かれた非公開の協議で、裁判官が双方に対し、ことし10月に原発を訪れ、敷地内を視察すると伝えました。
東京電力によりますと、裁判官が原発の敷地内を視察するのは初めてになります。
株主側の弁護団によりますと、裁判長は「原発の立地状況を現地で見て、事故の責任について判断したい」と述べたということです。
これまで、原発事故の慰謝料をめぐる民事裁判で、裁判官による周辺地域の視察はたびたび行われていますが、敷地内への立ち入りはありませんでした
また、東京電力の旧経営陣3人が強制的に起訴された刑事裁判の1審では、検察官役の指定弁護士が裁判官の現場検証を求めましたが、行われませんでした。
株主側の海渡雄一弁護士は「裁判所の現地視察には非常に意味がある。判決にプラスに働くと確信している」と話しています。


東京地裁、福島第1を初視察へ 原発事故株主訴訟で裁判長ら
                           共同通信 2021/6/1
 福島第1原発事故を巡る東京電力の株主代表訴訟で、東京地裁は1日、裁判長らが原発の敷地内を視察すると決めた。原告側によると、視察は10月を予定している。事故の責任が争われた刑事、民事の裁判で裁判官が敷地内に入るのは初めて。
 原告側は訴訟で、福島第1原発の原子炉が海岸に近く、標高も低い場所にあり、立地条件に問題があったと主張。海水を防ぐ水密化の構造にも欠陥があったとして、現地視察を求めていた。被告の東電経営陣側は、必要ないと反論していた。
 原告側は記者会見で「百聞は一見にしかずだ。立地状況や構造的欠陥を直接体感してもらうことは、非常に意味がある」と話した。


東電経営陣巡る訴訟、裁判官が福島第一原発視察へ
                          読売新聞 2021年6月1日
 東京電力福島第一原発事故を巡り、東電の個人株主が勝俣恒久元会長ら旧経営陣5人を相手取り、同社に22兆円を支払うよう求めた株主代表訴訟の進行協議が1日、東京地裁であり、朝倉佳秀裁判長らが10月にも同原発の敷地内を視察することが決まった。進行協議後に東京都内で記者会見した原告側が明らかにした。東電によると、事故の責任が問われた一連の訴訟で、裁判官が原発の敷地内に入るのは初めて。
 この日の手続きは非公開で行われた。原告側の弁護団によると、朝倉裁判長らは、原子炉建屋に核燃料などを運び込む「大物搬入口」を中心に確認する意向を示したという。
 訴訟では、旧経営陣が巨大津波の襲来を予測し、事前に原子炉の浸水対策を講じるべきだったかどうかが争われている。