2021年6月9日水曜日

原発事故 災害時は屋内退避困難 県避難委が課題整理

 原発の安全性を巡る新潟県独自の「三つの検証」の一つ避難委員会は31日、オンライン会合を開き、「屋内退避」の課題を整理した中間報告を取りまとめまし

 避難委の中間報告は、一定以上の規模の地震が起きた直後に自宅で屋内退避するのは、建物に被害がなくても停電、断水などライフラインの途絶や備蓄が尽きることで「現実的に不可能」と指摘しました。
 原発事故単独でも、屋内退避している多数の住民の安否、動向をどう確認し、必要な情報や物資をどう届けるかなどを課題に挙げました。
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原発事故 災害時は屋内退避困難 県避難委が課題整理、中間報告
                            新潟日報 2021/06/01
 原発の安全性を巡る新潟県独自の「三つの検証」の一つで、重大事故時の安全な避難方法を検証する避難委員会は31日、新潟市中央区でオンライン会合を開いた。事故時に住民が自宅などにとどまる「屋内退避」の課題を整理した中間報告を取りまとめた=表参照=。原発事故に地震が重なる複合災害の場合は、実施が「困難」と結論づけた


 屋内退避は、原発から大量の放射性物質が大気中に放出された際、住民の被ばくを抑えるための対応。県の広域避難計画では、避難準備区域(UPZ)とされる東京電力柏崎刈羽原発から半径5~30キロ圏の住民約42万人は原則、すぐに避難せず、まずは屋内退避することになっている。
 避難委の中間報告は、最大震度6強を観測し、余震も多かった2004年の中越地震などを踏まえ、一定以上の規模の地震が起きた直後に自宅で屋内退避することは「現実的に不可能」と指摘した。建物に被害がなくても、停電、断水などライフラインの途絶や備蓄が尽きることで、屋内退避を続けるのは難しくなると見通した。
 このため、学校などの避難所で住民を収容しきれない場合は、避難の判断も必要との考えを示した。
 原発事故単独でも、屋内退避している多数の住民の安否、動向をどう確認し、必要な情報や物資をどう届けるかなどを課題に挙げた。病院や高齢者施設で入院患者、入所者らとともに屋内退避する医療・介護従事者について、被ばくをどこまで許容するのか、あらかじめ明確にする必要があるとの意見も提示した。

 この日の会合では関谷直也委員長(東京大大学院准教授)が示した中間報告案に異論は出なかった。新型コロナウイルスの感染拡大下における避難も議題となったが、今後の感染状況が不透明などとして、具体的な議論は持ち越した
 一方、関谷氏は会合冒頭、柏崎刈羽原発でテロ対策など核物質防護体制の不備が相次いで発覚したことなどに触れ、東電の情報発信の姿勢に関して「非常に大きな課題を抱えている」との見方を示した。