福島民報の【見えぬ廃炉 第二原発】の後編です。
原発での使用済み核燃料や廃炉に伴う放射性廃棄物は、当面は敷地内に仮置きすることが認められていますが、最終的には福島県外で処分する約束になっています。しかし搬出先の見通しは皆無でこの先も開ける見通しはありません。要するに何もかもが真っ暗というのが原発の先行きです。
東電は福島原発事故の補償に関してこれまで冷淡であったため、県民や避難者たちは決して良い感情を持っていません。
東電は決してお高く留まっていられるような立場ではありません。この先県内での仮置きを延長するにしてもまた他所に埋設場所を求めるにしても、東電は当事者として先ず当たり前に汗をかく必要があります。
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【見えぬ廃炉 第二原発(下)】
放射性廃棄物 処分方針 道筋付かず 廃炉の最終形不透明
福島民報 2021/06/21
二〇六四年度に廃炉が完了するとされる東京電力福島第二原発では、建屋の解体などに伴い発生する放射性廃棄物の処分方針は決まっていない。東電は、国や電力業界と連携して処分の道筋を付けたい考えだが、最終処分場が確保できなければ四十四年間とされる廃止措置期間が経過しても、放射性廃棄物が第二原発敷地に留め置かれる可能性がある。福島第二原発のエンドステート(最終的な状態)は見通せていない。
福島第二原発敷地内の北西に固体廃棄物貯蔵庫がある。低レベル放射性廃棄物のドラム缶二万一千七百九十五本が並ぶ。ドラム缶には、通常運転時に設備更新で廃棄した金属の配管などをモルタルで固め、納めている。今後、青森県六ケ所村にある日本原燃の低レベル放射性廃棄物埋設センターに搬入され、敷地内に埋設される予定だ。
ただ、同センターに搬入できる廃棄物は運転時に発生したものに限られる。廃炉に伴う放射性廃棄物の処分事業者は現時点で国内に存在しないため、処分のめどが立っていないのが現状だ。
福島第二原発の廃炉では総量約五万トンの放射性廃棄物が発生すると試算される。放射線レベルに応じた内訳は、制御棒や炉内構造物など放射線レベルが比較的高い「L1」が三百八十トン、フィルターや手袋など中程度の「L2」が四千三百六十トン、コンクリートや金属など比較的低い「L3」が四万六千九百五十トンに上るという。この他、線量が極めて低く国の確認を受けて放射性廃棄物として扱わずに済むものが八万七千三百トン、汚染の恐れのない解体物が二百二十一万トンと東電は想定している。
国内全体を見渡せば、廃炉が決まった国内の商業原発のうち、事故があった東電福島第一原発の六基を除く十八基で計十六万トンを超える放射性廃棄物が発生する見通し。だが、処分方法や埋設先は不透明なままだ。
国内で廃炉が決まった十八基のうち、日本原子力発電東海原発(茨城県東海村)では、線量が比較的低いL3の廃棄物を敷地内で埋設して処分する方針を示している。一方で、福島第二原発の処分方法を巡っては、東電の担当者は「責任を持って可能な限り早期に搬出先を整備できるよう努力する」として、埋設処分の可能性について言及を避ける。
「福島第一原発事故で被災した福島の人々の感情を思うと、低レベル放射性廃棄物でさえ県内での処分は理解が得られないのではないか」。県廃炉安全監視協議会の専門委員を務める大越実日本アイソトープ協会専任理事(放射性廃棄物処理・管理)は指摘する。その上で「電力会社が主体的に検討することは重要だが、国の前面に立った対応が欠かせない」と語る。
通常の廃炉では、老朽化した原子炉から順次、取り壊していくのが一般的だ。福島第二原発は全四基で同時並行的に廃炉作業を進める。その分、大量の廃棄物が一度に発生する可能性がある。長期間にわたる保管や放射性物質の飛散防止、敷地の有効利用に向けた廃棄物の減容化の検討も必要になる。
放射性廃棄物の処分先が宙に浮く中、保管施設の撤去を含めた廃炉作業完了時のエンドステートを描けずにいる。県原子力安全対策課の担当者は指摘し「東電は廃棄物の保管や処分に関する具体的な検討に着手し、透明性を持って早急に示してほしい」と求めている。