柏崎刈羽原発の安全性を議論する新潟県技術委員会は3日、新潟市中央区でオンライン会合を開き、4月に新たに就任した委員5人が初めて出席しました。
同原発でテロなどを防ぐ核物質防護体制の不備が相次いだ問題について、原子力規制委員会は東電に対し、9月23日までに原因究明などに関する報告書の提出を求めていますが、県技術委はその後の追加検査をまたずに東電から説明を受ける構えです。
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東電に早期説明要求 県技術委、柏崎原発対テロ不備問題
新潟日報 2021/06/04
東京電力柏崎刈羽原発の安全性を議論する新潟県技術委員会は3日、新潟市中央区でオンライン会合を開いた。4月以降、新たに就任した委員5人が初めて出席。同原発でテロなどを防ぐ核物質防護体制の不備が相次いだ問題について、なるべく早期に、東電から現状の原因分析や改善の取り組みなどの説明を求めることで一致した。
核防護体制の不備問題では、原子力規制委員会が東電に対し、9月23日までに原因究明などに関する報告書の提出を求めており、その後、本格的な追加検査に入る見通し。県技術委は追加検査の結果などについて規制委に説明を求める方針だが、それを待たず、東電から説明を受ける構えだ。
3日の会合では、元日本原子力研究開発機構研究員の岩井孝委員が、核物質防護施設で長く勤務した経験を踏まえ「非常に深刻だ」と指摘。「まさに安全管理の問題で、規制委の説明を待つだけでなく、東電から説明を受けて議論する必要がある」と強調した。
中島健座長(京都大教授)も「県民も(問題について)知りたいと強く思っている」と賛同し、異論は出なかった。
一方、3月末で退任した委員が質問していた、事故時の対応手順や訓練などに関して、東電の担当者が回答。新任委員から「これまでの議論(の経緯)が分からない」との声も漏れた。
終了後、中島氏は「新たな委員は大変だが、これまでの議論をおさらいしてもらう必要はある。どういう形でやるか、事務局の県と相談したい」と述べた。
◎新たに5人の委員が就任
県は3日までに、県技術委員会の委員として地質学の専門家ら5人を新たに選任した。東京電力福島第1原発事故の原因検証に区切りが付いたことや、高齢などを理由に委員ら8人を3月末の任期で再任しなかったため、委員数は従来の14人から11人となった。
新たに委員に就いたのは、浅田義浩・MHI NSエンジニアリング参与(原発の品質保証)、岩井孝・元日本原子力研究開発機構研究員(核燃料工学)、小原徹・東京工業大教授(原子炉物理)、高橋信・東北大大学院教授(ヒューマンエラー)、豊島剛志・新潟大教授(構造地質学)。