2021年6月19日土曜日

19- 立民・枝野代表“原発ゼロ”で 小泉&細川元首相から公開質問状が

   (本記事は一部 湯沢平和の輪のブログの記事と重複しています)

 立憲民主党の枝野幸男代表今年2月、原発政策について、西日本新聞のインタビュー「原発の使用済み核燃料の行き先を決めないことには少なくとも原子力発電をやめると宣言することはできない」「皆さん道筋を示せというが、道筋を示すのは無責任」などと答え最近では会見や講演などで、「原発をゼロにするというゴールはどこかといったら、実は100年単位」「政権を取ったら原発ゼロ法案みたいのは作らない」などと発言したうえで、これまでの方針と矛盾はしていないと強調しました。
 しかし旧立民時代の18年には、「原発を速やかに止め、法施行後5年以内に廃炉」を盛り込んだ「原発ゼロ基本法案」を国会に提出しているし、昨年9月に発表した党綱領には、「再生可能エネルギーを基本とする分散型エネルギー社会を構築し、あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します」と掲げているのでまさにそれらと矛盾しています。

 城南信用金庫の吉原毅顧問を会長に小泉純一郎元首相と細川護熙元首相が顧問を務める原自連(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟)は14日付で枝野氏への公開質問状を出しました。
 そこでは「貴殿の使用済み核燃料の行き先を決めないことには原発をやめると宣言することはできない旨の回答は綱領と矛盾する」ことと、
「使用済み核燃料の行き先の決定を脱原発の意思決定及び宣言の前提条件にすることは実質的に原発ゼロ社会の実現を不可能にすることについて、発言の真意問いただしています。
 東京スポーツ紙の記事と公開質問状を紹介します。
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「立民・枝野代表“原発ゼロ”でフルボッコ 小泉&細川元首相から公開質問状届いた」
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 立憲民主党の枝野幸男代表に小泉純一郎、細川護熙両元首相らの原発ゼロを訴えるグループから強烈な突っ込みが入った。枝野氏は15日、菅政権に対する内閣不信任決議案で1時間28分に及ぶ演説を行い、自らが政権を取った際の“所信表明”を披露したが、その裏で「党綱領と矛盾している」「公約の原発ゼロは実質不可能ではないか」と公開質問状を突き付けられる事態となっているのだ。
枝野さんは原発、電力会社が倒産してしまうから、原発をすぐに止められないということなんでしょうが、止めない限り、ゴミは出続ける。ニワトリが先か、卵が先かではなく、ニワトリを先にしないと卵は生まれ続ける。枝野さんがそこを理解していないことにがくぜんとしている」と話すのは、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)の木村結事務局次長だ。

 原自連は2011年の東日本大震災の原発事故をきっかけに原発ゼロと自然エネルギー推進を掲げる個人や団体の集まりで、城南信用金庫の吉原毅顧問を会長に小泉純一郎元首相と細川護熙元首相が顧問を務める。原発事故から10年となった今年3月の集会には菅直人、鳩山由紀夫両元首相も駆け付け、原発ゼロを訴えていた。
 その原自連が看過できないと差出人に小泉氏や細川氏の名前が入った公開質問状を送った相手が枝野氏だ。問題となったのは枝野氏が今年2月、原子力政策について、西日本新聞のインタビューに「原発の使用済み核燃料の行き先を決めないことには少なくとも原子力発電をやめると宣言することはできない」「皆さん道筋を示せというが、道筋を示すのは無責任」などと答えていたことだ。
 後日、この枝野氏のインタビュー発言を聞いた小泉氏を含めた原自連幹事会はあきれ返ったという。というのも立民は昨年9月に発表した党綱領で「私たちは、地域ごとの特性を生かした再生可能エネルギーを基本とする分散型エネルギー社会を構築し、あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します」と掲げていたからだ。

 枝野氏への公開質問状では「貴殿の使用済み核燃料の行き先を決めないことには原発をやめると宣言することはできない旨の回答は綱領と矛盾する」「使用済み核燃料の行き先の決定を脱原発の意思決定及び宣言の前提条件にすることは実質的に原発ゼロ社会の実現を不可能にすることだが?」と、枝野氏の発言の真意が問いただされた。
 旧立民は18年に「原発を速やかに止め、法施行後5年以内に廃炉」を盛り込んだ「原発ゼロ基本法案」を国会に提出し、枝野氏は原自連から信頼されていたが、最近では会見や講演などで、「原発をゼロにするというゴールはどこかといったら、実は100年単位」「政権を取ったら原発ゼロ法案みたいのは作らない」などと発言。これまでの方針と矛盾はしていないと強調するも現実路線にかじを切ったともいえる。前出の木村氏は「立憲民主党は原発ゼロを掲げていながら、枝野さんは代表としてふさわしくない発言だし、勉強不足。お題目で原発ゼロというだけでなく、きちんとしっかり頭の中に叩き込んで入れてほしい。そうでないと原発ゼロを希求する市民が離れてしまう」と指摘する。実現できないのなら“原発ゼロ”という言葉を簡単に盛り込んでほしくないというわけだ。
 くしくも公開質問状が報道各社に公開された15日、枝野氏は菅内閣への不信任案で趣旨弁明を行い、否決されたものの「今日申し上げた所信を次の次の国会の冒頭では正式な所信表明演説にできるようにしたい」と胸を張った。原自連は回答期限を1か月後に指定。枝野内閣まで大見えを切った枝野氏は、原自連からの質問状に詭弁を弄せずに真正面から答えることができるのか――。


公開質問状
                              2021年6月14日
立憲民主党代表 枝野幸男 殿
                       原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟
                       会 長 吉原 毅以下省略) 
                       事務局次長 木村 結
貴殿は、2021年2月14日の西日本新聞による単独インタビューの際に、原子力政策について発言されております。
しかしながら、当該インタビューにおける貴殿の回答内容からは、原子力政策に関する見解が明確ではなく、むしろ、現政権の原子力政策を継続する方針を示すようにも受け取れる内容です。
すなわち、貴殿は、今後の原子力政策をどう進めるべきかという質問に対し、「原発の使用済み核燃料の行き先を決めないことには、少なくとも原子力発電をやめると宣言することはできません。使用済み核燃料は、ごみではない約束で預かってもらっているものです。再利用する資源として預かってもらっているから、やめたとなったらその瞬間にごみになってしまう。この約束を破ってしまったら、政府が信用されなくなります。ごみの行き先を決めないと、やめるとは言えない。」と回答されています。
この約束とは、平成20年4月25日付甘利明経済産業大臣文書(平成20・04・23資第5号)の「2.青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にしないことを改めて確約します。」という文言を指していると思われます。しかしこの文書は「原子力発電をやめると決定したら、すぐに使用済み核燃料を青森県から搬出する」ことを約束したとは読めません。
この文書は、青森県を高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の最終処分地にしないことを約束しているだけです。したがって、政府が原発を廃止すると宣言した場合、政府は六ヶ所村にある高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)を青森県外に搬出すべき方策(最終処分場を決定して建設して搬入する)を追求すればよいのです。即時に高レベル放射性廃棄物を青森県外に搬出すると約束はしていません。まして高レベルでない単なる使用済み核燃料をもとの原発サイトに戻すなどと記載していません。

また、上記政府文書が引用する「高レベル放射性廃棄物の最終的な処分について(平成6年11月19日 6原第148号)」、「高レベル放射性廃棄物の最終的な処分について(平成7年4月25日 7原第53号)」もどこを読んでも政府が原発廃止を決定したら直ちに使用済み核燃料、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)をもとの原発サイトなど青森県外に搬出するというような記載はありません。
「政府の約束」に言及されるならば文言は正確に読んでいただきたいと存じます。
ところで、原子力発電をやめる宣言をせずに原発の運転を続けるとなれば、その継続により新たな使用済み核燃料を生み出します。使用済み核燃料が増え続け、その総量が決まらないままそれらの最終処分場など決められない、国民が協力するわけがないと考えるのが常識です。使用済み核燃料の行き先を決めないことには、原子力発電をやめると宣言しないということは、結論として原子力発電をやめないことと同義になるのです。しかも使用済み核燃料の行き先を決めること(最終処分場の場所を決定し、現実に建設すること)は、全く見通しが立っておらず不可能と言われている(世界中でもフィンランドのオンカロの一部完成しかない)のですから、それを条件とすることは見通しが立たないことの成就を条件としていることになります。

そこで、以下の各質問について、2021年7月15日までに書面にて回答をいただくことを求めます。

質問1
貴殿が代表を務める立憲民主党の綱領(2020年9月15日)では、「原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現」するとされています。
貴殿の、原発の使用済み核燃料の行き先をきめないことには、原子力発電をやめると宣言することはできない旨の回答は、立憲民主党の綱領と矛盾するものと考えますが、この点について、貴殿のお考えをお示しください。

質問2
原発ゼロ社会の実現のためには、先に脱原発の意思決定及び宣言を実施し、その後に使用済み核燃料の行き先を考えるのが適切な順序であって、使用済み核燃料の行き先の決定を脱原発の意思決定及び宣言の前提条件とすることは、実質的に原発ゼロ社会の実現を不可能にすることだと考えますが、この点について、貴殿のお考えをお示しください。

以上の質問に対する回答は、2021年7月15日までに、以下の連絡先まで、郵送、FAX又はE-mailでお送りいただきますようお願いいたします。
また、回答いただいた内容は、メディアやホームページ等を通じて公表することがありますのでご承知おきください。
                                      以上
(連絡先)原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟 (以下省略)