九州電力の池辺社長は、カーボンニュートラルの早期実現に向けて目標を引き上げました。
原材料の輸送なども含めて、2050年より早く温室効果ガスの排出をマイナスにすると発表しました。中間目標についても、2030年に主に発電事業で50パーセント削減という今年4月の目標を引き上げ、グループ全体で60パーセント削減することを掲げました
まだ技術的に確立されていないので出来るかどうか分からないものの、「九州が元気になるためには、リスクをとっても今言うべきだ」と語りました。
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九電“脱炭素”目標を上方修正 温室効果ガス排出 2050年に「実質ゼロ」
RKB毎日放送 2021/11/30
九州電力はカーボンニュートラルの早期実現に向けて目標を引き上げました。
原材料の輸送なども含めて、2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにします。
●池辺和弘・九州電力社長「温室効果ガスの排出削減など、地球温暖化への対応は喫緊の重要課題であると捉えています」
九州電力は新たな経営目標を発表し、2050年に燃料の使用だけでなく原材料の調達や輸送も含めて温室効果ガスの排出を実質ゼロにするとしました。
中間目標についても、2030年に主に発電事業で50パーセント削減という今年4月の目標を引き上げ、グループ全体で60パーセント削減することを掲げています(どちらも2013年度比)。
再生可能エネルギーを主力電源とすることなどで電源の低炭素化を図るとしています。また、2050年に家庭・業務部門ともに電化率100パーセントを目指します。
池辺社長は「2050年より早く温室効果ガス排出量がマイナスになる『カーボンマイナス』を目指す」と述べました。
九電が2050年に「カーボンマイナス」目標 大手電力初「リスクとる」と池辺社長
産経新聞2021/11/30
九州電力は30日、2050年までにグループで排出する温室効果ガスについて、発生量以上に削減する「カーボンマイナス」を達成するとした行動計画を発表した。これまで掲げていた同年のカーボンニュートラル(排出実質ゼロ)達成をさらに深掘りした形で、「大手電力事業者として初めて」(同社)となる野心的な目標だ。池辺和弘社長は「九州から日本の脱炭素をリードする企業グループを目指す」と語った。
計画では、九州での再生可能エネルギーの開発促進や原子力発電の最大限の活用、水素やアンモニアを活用した火力発電の低・脱炭素化などを進め、グループの事業で排出する温室効果ガスを2013年の6200万トンから30年に60%減の2600万トンとする。さらに二酸化炭素(CO2)の回収、貯留技術も活用し、50年までのできるだけ早い時期に実質ゼロを実現するとした。
加えて運輸など電力部門以外での脱炭素や、海外での再エネ開発、非効率発電所の改修支援を通じ、社会全体の温室効果ガス削減にも貢献するとした。こうした削減量を、グループでの総排出量を上回らせることで「カーボンマイナス」を実現することを目指す。
今回の計画は、既存の技術で達成が約束されているものではない。
洋上風力をはじめ再エネ開発の将来は権利関係者との交渉など不確定要素が多い。電気は大量にためられないので、必要とされる瞬間に必要とされる量を発電しなければならない。天候によって発電量が変動する太陽光発電など再エネの導入を拡大すれば、その変動に対応する調整力や慣性力、同期化力への手当てが求められるが、技術やコストの両面で実用化は緒に就いたばかりだ。また原発のリプレースや火力発電での水素、アンモニア混焼などについても現時点で確実に見通せる未来があるわけではない。
これらの点について池辺氏はこの日の記者会見で「できるかどうか分からない」と認めた。それでも、あえて高い目標を掲げたのは「温室効果ガスの排出が少ない電気を供給できることが地域間競争や国際競争の強みになる」(池辺氏)との思いからだ。
温室効果ガス排出を削減し、カーボンニュートラルを目指す方向は先に英国・グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)でも確認された。具体的な達成方法では、各国に意見の相違が残るものの、社会生活や産業界は対応から逃れることはできない。
「地域とともに歩み、ともに生きる企業」と自己定義する九電にとって脱炭素の推進役として旗をふる姿勢を見せることで、国内の再エネ導入で先行する九州の地位をさらに高め、最終的には企業集積につなげたい狙いがある。
池辺氏は会見でこうも強調した。「九州が元気になるためには、リスクをとっても今言うべきだ」(中村雅和)