2014年3月10日月曜日

震災復興などについて全国面接世論調査

 東京新聞が加盟している日本世論調査会が、1~2日に実施した全国面接世論調査の結果を公表しました
 
 それによると、丸3なる東日本大震災の復興が「進んでいない」「どちらかといえば進んでいない」と考える人合わせて77%復興への国の取り組みを「評価しない」は52%安倍政権が進める原発再稼働に「反対」は54%で、被災地に対する世間の関心が「低くなっている」と感じる人は73%に達しました。
 
 また住んでいる地域で地震や津波を心配する人は「ある程度」も含め70%で、原発の今後に関しては「即時ゼロ」「段階的に減らし、将来はゼロ」を合わせた脱原発派が69%を占めました。
 東電福島原発の廃炉や避難区域の現状を「全く知らない」「あまり知らない」と答えた人は58%。汚染水問題などについて東電任せにしないと説明している安倍政権の姿勢には50%が期待感を示しました。
 
 東京新聞は記事の最後に、安倍首相が8福島県で建設中の災害公営住宅の整備状況などを視察した際の、「福島の復興なくして日本の再生はない。復興が前に進み始めたと実感した」という感想を紹介し、国民の感覚とのずれが示されているとしました。
 
 天本直人氏は9日、逃れられない安倍首相の大震災・原発被災に対する無策の責任」というタイトルでこの調査結果を取り上げて、「安倍首相の本当の大失態は景気回復と震災復興の遅れに違いない。その中でも災害復興、原発事故対策は緊急を要する国民的課題である。安倍政権に代わる政権が一日も早く出来て、震災復興・原発対策について正しい対策を急がなければ、日本は取り返しがつかない国になる」と批判しています。
 
(追記)日本世論調査会は、共同通信社と、その加盟社のうちの計38社とで構成している世論調査の全国組織ということです。
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震災復興「進まず」77% 「原発ゼロ」69% 全国面接世論調査
東京新聞 2014年3月9日
 十一日で発生から三年となる東日本大震災の復興が「進んでいない」「どちらかといえば進んでいない」と考える人が合わせて77%に上ることが、本社加盟の日本世論調査会が一日と二日に実施した全国面接世論調査で分かった。
 
 復興への国の取り組みを「大いに評価」「ある程度評価」とした人は45%、否定的な人は52%と二つに大きく分かれた。安倍政権が進める原発再稼働には過半数が反対の意思を示した。被災地に対する世間の関心が「低くなっている」と感じる人は73%に達した。「変わらない」は22%、「高くなっている」は4%だった。
 震災の教訓を伝えるために必要な国や自治体の取り組み(二つまで回答)は「被災地の状況を全国に伝え続ける」が53%、「防災教育を強化する」が49%だった。
 被災地支援のためにしていること(複数回答)も尋ねた。「特に何もしていない」が42%と最も多かった一方で「寄付・ふるさと納税」(32%)や「被災地の産品購入」(29%)も目立った。
 住んでいる地域で地震や津波を心配する人は「ある程度」も含め70%。災害への備え(複数回答)では「医薬品など非常持ち出し品」(51%)や「食糧・水」(42%)の備蓄が多く「自宅の耐震診断」は8%だった。
 
 原子力規制委員会で安全性を確認した原発を再稼働させる安倍政権の方針に対し、賛成は40%、反対は54%だった。賛成の理由は「電力不足が心配」が50%で最多。反対は「安全対策が不十分」が47%だった。
 原発の今後に関しては「即時ゼロ」「段階的に減らし、将来はゼロ」を合わせた脱原発派が69%を占めた。「段階的に減らすが、一定の比率は維持」「震災前の比率にする」などの容認・推進派は29%だった。
 東京電力福島第一原発の廃炉や避難区域の現状を「全く知らない」「あまり知らない」と答えた人は58%。汚染水問題などについて東電任せにしないと説明している安倍政権の姿勢には50%が期待感を示した。
 (注)小数点一位を四捨五入した
 
 ▽調査の方法=層化二段無作為抽出法により、一億人余の有権者の縮図となるように全国二百五十地点から二十歳以上の男女三千人を調査対象者に選び、一、二の両日、調査員がそれぞれ直接面接して答えてもらった。転居、旅行などで会えなかった人を除き千七百四十四人から回答を得た。回収率は58・1%で、回答者の内訳は男性47・8%、女性52・2%。東日本大震災の被災地のうち、三県について被害の大きかった一部地域を調査対象から除いた。
 
◆首相は「進み始めた」
 安倍晋三首相は八日、東日本大震災三年を前に、福島県で建設中の災害公営住宅の整備状況などを視察。記者団に「福島の復興なくして日本の再生はない。復興が前に進み始めたと実感した」と述べた。日本世論調査会の調査で、八割近い人が「復興が進んでいない」と答えた国民とのずれが鮮明になった。
 
逃れられない安倍首相の大震災・原発被災に対する無策の責任
 天木直人 2014年3月9日
  きょう3月9日の東京新聞が一面トップで震災復興についての全国世論調査結果を報じていた。
 その結果は「震災復興は進んでいない」と考える者が8割近くに達するというものだ。
 原発ゼロを望む者は7割だ。
 東京新聞が先駆けて行った世論調査だが、震災から3年目に当たる3月11日に向けて、同様の世論調査は大手各紙も行うだろう。
 そしてその結果はおおむね同じ結果を示すだろう。
 これが国民の実感であることは皆が知っている。これは何を意味するか。ズバリ安倍政権の震災復興に対する不満である。その無策に対する国民批判のあらわれである。
 安倍首相は自らの政策を国会で追及されると、自らの政策を語る前に、まっさきに民主党の無策を引用して、それよりはましだと繰り返してきた。
 そう言われれば民主党は反論できない。確かに民主党の無策とその責任は大きい。私は民主党政権を擁護する気は一切ない。
 しか大震災から3年たった今、はっきり言える事は、もはやその半分に近い期間に政権を担ってきた安倍政権の責任は、民主党政権の責任にくらべてはるかに大きいということだ。
 民主党政権は震災の衝撃とその直後の緊急対策に追われた一年半だった。それに比べ、安倍政権は民主党政権の政策の反省に立って、本格的な復興対策ができる1年半だった。
 おまけに民主党の大失敗のおかげで、通常では得られないはずの多数議席を衆参で持たせてもらった。近年まれにみる強い政権だ。その気になれば何でも出来たのだ。
 実際のところ、解釈改憲とか、歴史認識の見直しとか、自分がやりたいことは、歴代の自民党政権の伝統を否定するようなことまで行っている。
 不要・不急の個人的政策に国民から与えられた権力を乱用し、肝心の震災復興・原発対策については取るべき策をとろうとしない。原発政策に至っては、再稼働ばかりに走って、被ばく者救済や除染や汚染水対策については無策の極みだ。
 私には安倍外交の大失態があまりにも目につくので、いきおい外交面での安倍批判に走りがちだ。
 しかし安倍首相の本当の大失態は景気回復と震災復興の遅れに違いない。その中でも災害復興、原発事故対策は緊急を要する国民的課題である。
 安倍政権に代わる政権が一日も早く出来て、震災復興・原発対策について正しい対策を急がなければ、日本は取り返しがつかない国になる。
 日本が沈没寸前で踏みとどまれるかどうかの瀬戸際である(了)