2014年3月19日水曜日

再稼動反対で立地地方議員団結 連合を結成

 全国の原発立地自治体13道県で原発の再稼働に反対する136人の地方議員が「原発立地自治体住民連合」を組織しました。
 今月下旬には、政府再稼働を目指す原発の安全性について、「事故は百パーセント起こらないと保証するのか。保証できないまま再稼働するのか」などと問いただす公開質問状を提出する方針です
 政府が回答しない場合には、活動に賛同する国会議員に質問主意書を提出してもらうということで、そうすれば政府は閣議決定した答弁書を出さなければならなくなります
 質問状は、「東京に原発を!」など原発を批判する著書で知られる作家の広瀬隆氏が、とりまとめました。
 
 議員たちは、特に原子力規制委員会が判断する原発の安全性に、事故時の住民の避難対策が考慮されていないことを問題視しています
 住民の避難計画がすでにあるのはまだ全体の43%の58市町村にとどまっています。
 それに形式的に計画をつくっても、いざという時に役立つ保証はない、という根本的な問題が解決されていません。
 現実に時事通信が行った自治体アンケートで、原発周辺の道府県や市町村の半数近くが事故時の住民避難は難しいと答えています
 
 それにもかかわらず政府は原発再稼働の条件となる規制委の安全審査と防災計画の関係について「(安全審査のための)新規制基準には防災計画にかかる事項は含まれていない」と説明しており、安倍晋三首相は避難計画がなくても再稼働を認める可能性を否定していません
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再稼働反対で立地議員団結 13道県136人、連合結成
東京新聞 2014年3月17日 
 全国の原発立地自治体で原発の再稼働に反対する百人超の地方議員が「原発立地自治体住民連合」を組織した。今月下旬には、政府に再稼働を目指す原発の安全性を問いただす公開質問状を提出する方針。二十四日に都内で記者会見し、メンバーや活動方針を発表する。 
 これまでに十三道県の百三十六人が参加を表明。質問状では「原発の大事故で被害者となるのは、立地自治体の住民」と強調。「事故は百パーセント起こらないと保証するのか。保証できないまま再稼働するのか」と政府を追及する。
 
 使用済み核燃料や、再処理で発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分場が決まっていないのに再稼働を認める理由なども盛り込む方針。政府が回答しない場合には、活動に賛同する国会議員に質問主意書を提出してもらう。政府は閣議決定した答弁書を出さなければならなくなる。
 メンバーの内訳は県議十六人、市町村議百二十人。福島県いわき市議や福井県敦賀市議ら六人が共同代表に就いた。新規制基準に基づく再稼働第一号となる可能性がある九州電力川内(せんだい)原発のある鹿児島県からは計二十九人が加わった。
 
 「東京に原発を!」など原発を批判する著書で知られる作家の広瀬隆氏が、質問状を取りまとめた。広瀬氏は「(マスコミでは)川内原発の再稼働に地元では反対がないなどと書かれているが、とんでもない。黙らされている地元民の怒りの声を広める」と話す。
 
 
避難計画6割未策定 規制委の対応問題視
東京新聞 2014年3月17日
 原発再稼働に反対する立地自治体の地方議員が大同団結するのは、安全性への不安を残したまま、安倍政権が再稼働を進めようとすることへの焦りが背景にある。議員らは、原子力規制委員会が判断する原発の安全性には、事故時の住民の避難対策が考慮されていないことを問題視している。 (宮尾幹成)
 
 住民避難については、事故の際の避難先や経路などを避難計画として定めることになっている。規制委は東京電力福島第一原発事故後、原子力災害対策指針を改め、避難計画を含む地域防災計画の策定が必要な自治体を原発の半径八~十キロ圏内から三十キロ圏内に広げた。
 だが、避難計画の策定は再稼働の前提にはなっていない。政府は原発再稼働の条件となる規制委の安全審査と防災計画の関係について「(安全審査のための)新規制基準には防災計画にかかる事項は含まれていない」と説明している。
 安倍晋三首相は、避難計画がなくても再稼働を進めるかどうかについて、国会で「できないという後ろ向きの発想ではなく、どうすれば地元の理解を得られるかが重要だ」と答弁し、再稼働を認める可能性を否定していない。
 政府の原子力防災会議によると、原発の半径三十キロ圏内にある二十一道府県の百三十五市町村のうち、避難計画がすでにあるのは一月末現在、全体の43%の五十八市町村にとどまる。
 規制委が優先審査を決め再稼働第一号となりそうな九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の周辺自治体は全て策定を終えた。反対に、再稼働を申請している原発でも、東電柏崎刈羽(新潟県)、中部電力浜岡(静岡県)、東北電力女川(宮城県)は対象の全市町村が策定していない。
 
 そもそも形式的に計画をつくっても、いざという時に役立つ保証はないとの見方が強い。共同通信が二月に行ったアンケートでは、原発周辺の道府県や市町村の半数近くが事故時の住民避難は難しいと答えた。
 
 「原発立地自治体住民連合」の共同代表の阿部悦子愛媛県議は、四国電力伊方原発(愛媛県)の地元自治体が策定した避難計画を「県の防災ヘリを使うなどと書いてあるが、一度に数人しか乗れない。これで『避難計画をつくった』と言えるのか」と問題提起する。
 阿部氏以外の「住民連合」の共同代表は以下の通り(敬称略)
 北海道岩内町議 佐藤英行▽福島県いわき市議 佐藤和良▽新潟県柏崎市議 矢部忠夫▽福井県敦賀市議 今大地晴美▽鹿児島市議 小川美沙子