2019年3月26日火曜日

26- 東海第二避難 常陸太田市もバス台数把握へ

東海第二 常陸太田市も住民調査へ バス台数把握のため
東京新聞 2019年3月24日
 東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発で放射能が漏れる深刻な事故に備え、三十キロ圏に入る常陸太田市は二十三日、避難計画に基づく訓練をした。避難時に、渋滞が起きる恐れも改めて示された。訓練後、大久保太一市長は避難用のバスの必要台数を調べるため、四月以降に住民にアンケートする考えを明らかにした。 (山下葉月)
 
 市によると、昨年一月に避難計画を策定してから、初の大規模訓練になる。
 住民や市職員ら約三百人が参加し、前日に事故が起き、避難が必要になったと想定。原発に近い世矢地区の約三十人が世矢小学校に集合し、約三十キロ離れた里美ふれあい館までバスと福祉車両各一台で移動した。
 館では、車や体が汚染されていないかどうかを調べるスクリーニングの手順も確認。日本原子力研究開発機構の担当者が、専用の装置を住民の手や足の裏にかざしチェックした。参加した無職橋本充正さん(67)は「検査の流れが確認できてよかった。万一のことに備え、一部の住民でなく、誰もが一度は検査の経験をすべきだと思う」と話した。
 
 一方で、渋滞の課題も浮かび上がった。ふれあい館に向かう道路が、電線工事の重機がたまたまあったために渋滞し、到着が予定より十分ほど遅れた。市の担当者は「工事の人が重機を置いて逃げたら道路がふさがれ、大渋滞が起きるだろう。複合災害になった時にどこまで対応できるのか不安になった」と話した。
 避難計画では、大子町と福島県の自治体計二十一市町村に避難する予定だが、訓練では指定の避難先には行かなかった。市は今回の課題を踏まえ、避難計画を改善させたいとする。
 
 訓練後、大久保市長は「市民が避難時にどう行動するか把握しないと実効性ある計画に結び付かない」と指摘。「バス避難を希望する人が何人くらいいるのか、把握しなくてはならない」と、住民にアンケートする考えを示した。ほかに、指定避難所に行くかどうかや冬用タイヤの所持の有無などを盛り込むとする。こうしたアンケートは村や日立市が取り組み、ひたちなか市も近く予定する。原発三十キロ圏で四自治体となる。