2019年3月24日日曜日

なりふり構わず原発を守ろうとする経産省

 脱原発をしないことには経営が成り立たないというのは、いまや電力会社の隠れた認識になっています。しかし原子力ムラ総本山の経産省は、それを認めようとしません。
 電気料金に原発補助費を上乗せして、それを原発を所有する電力会社に配るという原発擁護策を構想しています。
 その根拠づけは 曰く
原発温室効果ガスを排出しない「ゼロエミッション電源」なので、環境への貢献で付加価値をもたらしているから」
だというものです。
 
「ゼロエミッション」は有害な炭酸ガス等を放出しないという意味ですが、それなら再生エネこそがそれに該当します。
 それに対して原発は、ことあるごとに放射能をまき散らすほかに、ウランを採掘してそれを核燃料に精製する過程で莫大な炭酸ガスを放出します。
 それに加えて使用済み核燃料の始末には、さらに莫大な炭酸ガスを消費します。
 数万年を要する地下保管には、複数の立坑(300m以上・エレベータ付)と排気坑(多数の排気ファン付)の設備と地下滲出水の排水設備、関連の電気設備などが必要です。回転機器類の交換頻度を数年に1回としても、それぞれ1万回に及びます。電気設備も適宜更新する必要があります。数万年間の電力供給や1万回に及ぶ交換機器の製造や交換工事には全て炭酸ガスの放出が伴います(ウラン燃料は僅か数十年で枯渇します)。
 
 要するに理屈にならない言い分を述べたててまで原発を擁護しなければならないほど、いまや原発は劣勢になったわけですが、それでも官僚は自分たちの利権のためには恥も外聞もなく突き進むわけです。それが官僚の本性であれば確かに公僕ではありません。
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脱原発たちを敵に回した経産省の信じがたい愚策
天木直人のブログ 2019-03-23
 きょう3月23日の朝日新聞が一面トップで大スクープを書いた。
 経産省は原発で発電する電力会社に対する補助制度の創設を検討しているというのだ。
 脱原発たちをなめきった政策だ。
 原発の即時撤廃は無理としても、脱原発はもはや不可避である。
 それは政治の暗黙のコンセンサスだ。
 
 ところが経産省は電力会社に補助までして原発を進めるというのだ。
 この朝日のスクープは脱原発たちの怒りに火をつけるだろう。
 いや、脱原発たちだけではない。一般国民もまたこの朝日の記事を読めば怒り出すに違いない。
 なにしろ朝日の記事によれば、原発発電を行う電力会社への補助予算は電力価格に転嫁されて一般国民の負担増になるからだ。
 それだけではない。原発を維持する電力会社は負担増の為に生き残れない。
 だから脱原発に舵を切って生き残りを図ろうとする電力会社を、むりして原発で電力をつくらせようとするものであるからだ。
 
 これを要するに、経産省は、無理に無理を重ねて原発発電を続ける電力会社を助け、そのツケを一般消費者に押しつける事を企んでいるのだ。
 それを朝日がスクープ報道して白日の下にさらしてくれた。選挙前の朝日の大スクープだ。
 経産官僚に牛耳られている安倍政権にとって大打撃になるだろう。
 果たしてこの朝日の大スクープはどんな反響を呼ぶか。
 メディアはどこまで騒ぐか。
 見物である(了)