2024年12月9日月曜日

島根2号機再稼働(続報)

 島根原発2号機7日に再稼働しました。12年1月に停止さてから約13年ぶりで、各方面から改めて万全の安全体制が求められています。
 読売新聞が再稼働までに長期間を要した事情についての記事を出しましたので続報として紹介します。
 併せて時事通信の記事を紹介します。
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追加調査で宍道断層の長さ1・8倍に…島根2号機再稼働が長期化、福島第一と同じ沸騰水型も理由
                            読売新聞 2024/12/7
 中国電力島根原子力発電所2号機の再稼働まで約13年かかったのは、中国電力が原子力規制委員会の安全審査への対応に時間を要したためだ。東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえて2013年にできた「新規制基準」によって自然災害への対策が大幅に強化された。地震の揺れや津波の高さなどの想定を厳しくするよう電力会社側に求めている。
 中国電が規制委に審査を申請したのは13年12月。審査では原発の約2キロ・メートル南の活断層「宍道(しんじ)断層」が焦点となった。中国電は宍道断層の長さを約22キロ・メートルと評価したが、審査中の16年7月、政府の地震調査研究推進本部が新知見を発表し、より長い可能性が出てきた。これを受けて追加調査が必要になり、当初の1・8倍となる約39キロ・メートルに見直した
 島根2号機は爆発事故を起こした福島第一原発と同じ沸騰水型(BWR)で、加圧水型(PWR)に比べて、原子炉を覆う格納容器の容積が小さい。事故時の圧力上昇に弱いことから、圧力を逃がす排気設備「フィルター付きベント」の即時導入が義務付けられた。こうした新規制基準に基づく要求事項が多いため、審査の長期化につながった。
 これまで27基の原発が審査に臨んだが、合格したのは17基にとどまる。北陸電力志賀2号機(石川県)や北海道電力泊1~3号機(北海道)は、敷地内の断層が活断層か否かを巡る議論が長引き、申請から10年以上が経過した。

 一方、AI(人工知能)の普及やデータセンターの増加に伴い、電力需要は大幅に増える見通しだ。政府は化石燃料を使わない安定的な電源として原発の積極活用を掲げる。常葉大の山本隆三名誉教授(エネルギー環境政策)は「現状の審査は時間をかけすぎている。規制委が電力会社に論点を事前に提示するなど、双方が協力して効率性を高める努力をすべきだ」と話す。


安全対策「丁寧に対応」 自然災害、重大事故に備え 島根原発
                            時事通信 2024/12/8
 中国電力島根原発2号機(松江市)の安全対策工事は12回の延期の末、10月に完了した。
 地震や津波といった自然災害への対応から緊急時の電源確保、冷却機能を維持する設備の整備など64項目に及ぶ対策について、同原発の岩崎晃所長は「すべて丁寧に対応してきた」と胸を張る。
 中国電は、耐震設計で想定される揺れ(基準地震動)を820ガル(加速度の単位)に引き上げたほか、津波に対する防波壁のかさ上げを行うなどした。
 同社は再稼働を前にした2日、安全対策設備を報道陣に公開。原子炉につながる配管に、地震の揺れを軽減する装置53台を取り付けたほか、電源ケーブルは耐火材で覆ってあった。津波による浸水を防ぐための厚さ最大30センチの水密扉や、竜巻による飛来物侵入を防ぐ防護ネットも設けられていた。
 重大事故が起きて外部電源などが使えないケースを想定し、ガスタービン発電機を高台に設置。冷却機能を確保するため送水車を配備し、注水ポンプと注水槽を新設した。建屋内の気密性を確保して放射性物質の拡散を抑える装置なども導入した。
 東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)の運転を担う岩崎所長。「事故は起こさないと思った途端に進歩がなくなる。これからも何ができるかを考え続けたい」と気を引き締めた。