帰還困難区域を抱える福島県内6町村長による協議会は11日、帰還困難区域への支援充実を求める要望書を渡辺博道復興相に提出しました。昨年12月の協議会設立後、国への要望活動は初めてです。
協議会は環境省や国土交通省、自民党本部にも要望書を提出しました。
福島民報がかなり詳細に報じました。
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復興拠点内外施策に格差 6町村、国へ是正要望
福島民報 2019/04/12
東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域に整備する特定復興再生拠点区域を巡り、拠点区域内外で国の復興策に格差が生じている。帰還困難区域のある富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の六町村は十一日、国に対し、二〇二〇年度までの復興・創生期間終了前に、国による拠点区域外の除染や家屋解体、避難指示解除に向けた方針を示し、区域内外の格差を是正するよう初めて求めた。
帰還困難区域は七市町村に残っており、南相馬市を除く六町村の拠点区域で、国が除染と家屋解体を国費で進めている。一方で、拠点区域外の帰還困難区域は避難指示解除に向けた具体的な道筋が示されてない。このため、帰還の見通しが立たず、住民間の分断や不公平感につながっている。
不均衡を是正するために国に要望した主な項目は下記の通り。拠点区域外でも除染と家屋解体を実施し、除草や伐木などの荒廃抑制にも取り組むよう求めた。国が認定した拠点区域にとらわれず、復興の進度に応じて拠点区域の拡大を認めるよう強調した。拠点区域外の住民への当面の生活支援として、被災者生活再建支援金制度の弾力的な運用も明記した。
滝沢一美富岡町副町長、渡辺利綱大熊町長、伊沢史朗双葉町長、吉田数博浪江町長、篠木弘葛尾村長、菅野典雄飯舘村長、町村議会議長らが復興庁と環境省、国土交通省、原子力災害対策現地本部、自民党東日本大震災復興加速化本部に要望した。
環境省では、篠木村長が原田義昭環境相に対し「拠点区域と区域外の住民で乖離(かいり)ができている」と復興格差への不安を訴え、国の責任で拠点外の復興に取り組む体制を整備するよう求めた。原田氏は「まずは拠点内を着実に進める」と従来の回答を繰り返すにとどまった。
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家屋解体については、被災者生活再建支援法に基づく支援金(最大三百万円)支給制度がある。しかし、地震と津波による被災が対象で、原発事故の長期避難による家屋荒廃は対象外となっている。家屋解体の先行きが見えない拠点区域外の住民からは、支援金の要件を緩和したり、一律支給を可能にしたりするなどして不平等の解消を求める声も上がっている。
■帰還困難区域の復興・再生に向けた主な要望
▼特定復興再生拠点区域外
・2020年度までの復興・創生期間終了までに除染や避難指示解除に向けた国の方針の明示
・拠点区域外の除染と家屋解体の実施。除草や伐木などの荒廃抑制対策の実施
・除染土壌の最終処分地の選定
・拠点区域外の住民への生活支援のための被災者生活再建支援金制度の弾力的な運用
・復興の進度に応じた拠点区域の拡大
▼特定復興再生拠点区域内
・住民の要望を尊重した除染と家屋解体の促進
・農地再生や拠点施設の整備に対する国による十分な財政支援
・放射線量の測定と線量低減対策の実施
▼町村の復興・再生
・帰還困難区域への立ち入り規制の緩和と手続きの簡素化、防犯体制の強化
・先行解除された地域と同様に固定資産税や国民健康保険税、医療費の負担などを支援するための町村に対する財源補填(ほてん)
・帰還困難区域という名称に起因する風評の対策と自由度の高い交付金制度の創設