2019年4月22日月曜日

廃炉作業に外国人材就労 受け入れ対策は万全なのか

 まずそもそも論として、昨年まで「海外では必要性がないから」として実習生に認めなかった原発関連の作業を、法律の改正によって「1号の外国人」に括りが変わったからといって容認するのはなぜなの政府はきちんと説明すべきです
 
 廃炉作業の実施部隊はいわゆる第5次下請などの末端組織で、被曝に関する教育や各人の被曝量の管理などはすべて末端の業者に任されます。
 しかし原発や放射能の危険性についての認識があまりなく、しかも日本語に不自由な外国人に、それらを理解させるのは簡単ではありません。初めて聞くような専門語を羅列されても勿論理解できません。
 要するに通り一遍の説明などではとても目的が達成できないのに、これまでそうした教育や管理が比較的ルーズであった業者にそれを要求するのには無理があります。
 また外国人を受け入れることになったからといって大いに改善されることも考えられません。
 
 仮に日本人同士であっても新しい作業の要領を理解するのは難しく、何度も聞き直して初めて理解できるのが普通です。ましてフルフェースのマスクを着けた状態で現場で説明されても、聞き取ること自体が出来ません。
 教育と理解が徹底されなければ被曝する危険性が増します。それが回避できる保証がないままに、外国人労働者を廃炉作業に就けることはあってはならないことです。
 
 総じて外国人労働者を廃炉工事に従事させるための受け入れ態勢が出来ているとはとても思われません。
 昨日に引き続き、外国人の廃炉作業就労の問題を取り上げます。
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廃炉に外国人材  受け入れ対策を万全に 
京都新聞 2019年04月20日
 新たな在留資格「特定技能」の外国人労働者を、東京電力福島第1原発の廃炉作業に受け入れるとの方針を、東電が明らかにした。
 廃炉作業の現場は慢性的な人手不足が続いている。外国人に頼りたい思いは分からなくもない。
 ただ、廃炉作業には健康を損なう可能性もある困難な内容のものも少なくない。
 放射線の知識や仕事の手順を理解できるか、累積の被ばく管理を適切に行えるかなどは、日本人作業員にとっても難しい課題だ。
 万全の対策を講じる必要がある。在留に期限があるからといって、外国人の労働力を使い捨てるような扱いをしてはならない。
 福島第1原発では、東電や協力企業の社員ら1日平均約4千人が働いている。作業員の被ばく線量は法令で年間50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトが限度とされる。
 一定の被ばく線量を超えると作業を続けられなくなるため、労働力の確保が常に求められている。
 まず懸念されるのは言葉の問題だ。作業経験者によると、事前の講習は専門用語が多く、外国人が理解するのは簡単ではない。顔全体を覆うマスクを付けると日本人同士でも会話がしにくいという。
 今回受け入れが想定されるのは特定技能「1号」で、日常会話程度の日本語能力が必要とされる。東電は「外国人の雇用は協力会社の判断」としているが、言葉の能力は作業の進行にも関わる。企業に委ねるだけでは済まない。
 累積被ばく量も、在留期間終了後に帰国すれば把握することは難しい。海外の原子力施設で働く場合に支障がでる可能性もある。
 
 こうした懸念からうかがえるのは、政府が急いだ外国人労働者受け入れの制度設計の内容が、現場任せになっているという実態だ。
 政府は特定技能1号の受け入れを5年間で最大34万5千人とするが、多くは既存の技能実習生の移行を想定しているという。
 その技能実習生が過去に原発の除染作業に従事していたことが発覚した際、法務・厚生労働両省などは「被ばく対策が必要な環境は技能習得の実習に専念できるとは言い難い」として一律に認めないとの見解を示している。
 今回の東電の受け入れ方針を、世耕弘成経済産業相は容認する考えを示したが、1号と技能実習生で置かれた状況が大きく変わっているとは思えない。実習生に認めなかった原発関連の作業を、1号の外国人に容認するのはなぜか。政府はきちんと説明すべきだ