全17原発に検査不正製品 ケーブル、蓄電池 重要機器にも使用
東京新聞 2019年4月27日
電線大手フジクラや日立化成などの製品で発覚した一連の検査不正問題で、東京電力福島第一原発を含む国内にある全十七原発に、これらのメーカーから必要な検査をしなかったケーブルや蓄電池などが納入され、重要度の高い機器でも多く使われていたことが二十六日、電力十社や原子力規制委員会への取材で分かった。十社は納入状況を順次公表しているが、全原発に不正検査品が納入されていたことが判明するのは初めて。
十社は問題の製品の一部を交換し、それ以外は性能試験や点検などで影響がないことを確認でき、使用を継続するとしている。ただ、無数の機器で制御される原発は、小さな部品や機器の不調が事故を招きかねず、機能が十分に働かなければ緊急時の対応が遅れる恐れもある。電力会社による調達や管理の難しさが浮き彫りとなった。
十七原発は、建設中の電源開発大間(青森県)と東電東通(青森県)を除く国内の全原発。検査不正を巡っては、二〇一七年十月に神戸製鋼所がデータ改ざんを公表後、複数企業で相次いだ。
電力十社や規制委によると、フジクラや子会社いずれかの不正製品は全原発で納入を確認。絶縁抵抗の検査などを一部実施していなかった。大半の原発は、原子炉の冷却系統につながる難燃性の電力ケーブルなど重要度の高い設備で使用。通信ケーブルで確認された原発もあった。
検査の未実施や結果の不適切な記載が見つかった日立化成の蓄電池や電源装置は、停電の緊急時に使うが、十原発に納入されていた。
ほかに東電柏崎刈羽(新潟県)や中国電力島根(松江市)は非常時の原子炉冷却系統に、一部検査をしなかった東京計器の油圧弁を使っていた。
データ改ざんのあった油圧機器大手KYBの免震・制振装置は、中部電力浜岡(静岡県)、四国電力伊方(愛媛県)、日本原子力発電敦賀(福井県)へ納入され、神戸製鋼所や三菱マテリアルの関連会社のデータ改ざん製品は、北海道電力泊(泊村)などで使用されていた。