2019年4月26日金曜日

テロ対策施設未整備問題 続報

 全国の7原発13基で、テロ対策施設設置期限に間に合わないかめどが立っておらず、そのうち5原発9基がすでに再稼働しています。
 中でも、
▽鹿児島県の九州電力川内原発1号機、2号機はそれぞれ来年3月と5月、
▽福井県の関西電力高浜原発3号機、4号機は来年8月と10月に、期限が迫っていますが、いずれもおよそ1年完成が遅れる見通しです。
 
 NHKの2つのニュースを紹介します。
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原発「運転継続の可能性ほぼゼロ」テロ対策未整備で
NHK NEWS WEB 2019年4月25日
原子力規制委員会が、テロ対策の施設が期限までに完成しない原発は原則、運転を停止させると決めたことを受けて、電力各社は停止を避けるために、施設の完成を急ぐことや規制委員会に説明を続ける考えを示しました。ただ規制委員会は運転の継続に否定的な見解を示しています。
 
原子力規制委員会は24日、テロ対策などのために原発への設置を義務づけている「特定重大事故等対処施設」と呼ばれる施設について、再稼働の前提となる審査に合格してから5年の期限までに完成しない場合、原則、運転の停止を命じることを決めました。
電力会社各社は、全国の7原発13基で施設の設置期限に間に合わないかめどが立っていないとし、このうち5原発9基がすでに再稼働しています。
 
中でも、
鹿児島県の九州電力川内原発1号機、2号機はそれぞれ来年3月と5月、
福井県の関西電力高浜原発3号機、4号機は来年8月と10月に、期限が迫っていますが、いずれもおよそ1年完成が遅れる見通しです
 
規制委員会の決定を受けて九州電力は「早期の完成に向けて引き続き最大限の努力を続けて参ります」とコメントを発表しました。
関西電力は「運転継続のための安全は確保されている」として、運転を継続できるよう規制委員会に対し説明を続ける考えを示しました。
ただ原子力規制委員会の更田豊志委員長は会見で「話を聞くことは否定しないが代わりとなる対応策は考えにくい。運転の継続を認める可能性は限りなくゼロに近い」と述べ、否定的な見解を示しました。
 
 
テロ施設問題 電力会社の経営に影響が及ぶ可能性も
NHK NEWS WEB 2019年4月24日
原子力規制委員会は、テロ対策の施設が期限までに設置できない原発は、原則として運転の停止を命じることを決めました。今後、原発が停止すれば、原発を再稼働させている電力会社は経営に影響が及ぶ可能性があります。
 
電力各社の説明によりますと、原発が停止すると火力発電でその分の発電を代替することになります。原発が1基停止すると、天然ガスや石油などの燃料費が年間500億円前後かかることになります。
原発を再稼働させた関西電力や九州電力は、発電のコストが下がったことを理由に電気料金の値下げに踏み切っています。
原発を停止することになれば、電力会社はコスト上昇分をどう負担するかという議論になり、電気料金にも影響が及ぶ可能性があります。
また、原発が停止した場合、電気を多く使う夏や冬に電力の需給が厳しくなるおそれもあります。
 
九電管内 電気料金に影響の可能性
九州電力は、2011年に起きた福島の原発事故を受けて、鹿児島県と佐賀県にある合わせて4基の原発について稼働の停止を余儀なくされました。その結果、火力発電の燃料費がかさむなどしたため4年続けて赤字に陥りました。
このため2013年には、家庭向けなどの電気料金を平均で6%余り値上げしました。その後、去年までに4基は相次いで再稼働し、発電コストを削減できたなどとして、九州電力は今月(4月)から家庭向けなどの電気料金を平均で1%余り値下げし始めたばかりでした。
テロ対策のための施設の設置期限は鹿児島県にある川内原発の1号機が来年3月、2号機が来年5月までで、佐賀県にある玄海原発は3号機が3年後の2022年8月、4号機が同じく2022年9月となっています。
九州電力はいずれも期限内にテロ対策のための施設を完成させるのは難しいとしていて、今後、相次いで原発が停止すれば、九州電力管内の電気料金に再び影響が出る可能性もあります。