福島原発事故後の茨城県内の放射能汚染状況を測定している団体「いばらき環境放射線モニタリングプロジェクト」が31日、中間報告会を開き。事故から8年たっても線量の影響が続く場所があると報告しました。
記事の末尾に「旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の基準で『移住の権利』ありとされるレベルの汚染」とあるのは、「避難の権利」とも呼ばれるものです。
1986年に起きたチェルノブイリ事故で、ソ連は、年間被曝量1ミリシーベルト以下は避難は不要、1~5ミリシーベルトの地域の住民は自己判断で避難を決め、5ミリシーベルト以上は強制的に避難させ、避難者にはいずれも手当をだすという「避難の権利」を法制化しています。したがって1ミリシーベルトのレベルを指していると解釈されます。
日本が年間被曝量20ミリシーベルト以上を避難区域として、それ以下の地域から避難した人たちを自主避難者として法的にも実態的にもことごとに差別しているのとは雲泥の差です。
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福島原発事故 県内の放射能汚染報告 測定の市民団体「8年後でも影響」
東京新聞 2019年4月1日
東京電力福島第一原発事故による放射能汚染について、(茨城)県内の状況を測定している団体「いばらき環境放射線モニタリングプロジェクト」が三十一日、水戸市内で中間報告会を開いた。事故から八年たっても、線量の影響が続く場所があると報告した。
プロジェクトは、行政による調査が十分でなかったとして、二〇一八年度から三年計画で県内各地の空間線量を測っている。
調査してきた天野光さんは、取手市内の一地点について、地表面の広範囲が汚染されたため、今も地上1メートルの線量減少率が通常より小さいと示した。また、一般的には地表面に近い方が線量は高いが、東海村内の公園では松などの木の幹に放射性物質が吸着されている影響で、地上五十センチや同1メートルの線量が地表より高くなる逆転現象が起きていると指摘した。
報告会には、土壌の放射性セシウムなどを調査する市民団体「つくば市民放射能測定所」の藤田康元さんも登壇。県南と県北の五市町の一部は福島事故直後、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の基準で「移住の権利あり」とされるレベルの汚染だったが、昨年三月時点で該当自治体は一市に減ったとした。 (越田普之)