2021年4月8日木曜日

福島第一原発 コンテナ4000基中身不明 ずさんな管理

 福島第一原発でコンテナ約4千基の内容物が不明となっている問題で、1712月に構内のコンテナの所在や内容物に関するデータをシステム管理する際、これらの中身を正確に把握しないまま放置していたことが6日、東電への取材で分かりました。
 またしても東電のずさんな管理体制が浮き彫りになったもので、原子力規制庁は事態を重く受け止め早急な対策を求めています。
 3月初旬に福島原発の1~4号機西側を通る排水路で、雨水の放射性物質濃度が1500ベクレル/ℓを超えたことを示す警報が鳴る事態が起きました。
     ⇒(3月6日)福島第1原発排水路で警報 雨水の放射性物質上昇
 当時は原因が不明でしたが、その後一部腐食したコンテナから漏れた物質が原因と分かり、そのコンテナが帳簿に記載されていなかったことから管理上の不行き届きが判明したものです。
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第一原発コンテナ4000基中身不明 2017年、データ化せず放置 東電、ずさんな管理露呈
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 東京電力福島第一原発でコンテナ約四千基の内容物が不明となっている問題で、二〇一七(平成二十九)年十二月に構内のコンテナの所在や内容物に関するデータをシステム管理する際、この約四千基の中身を正確に把握しないまま放置していたことが六日、東電への取材で分かった。原子力規制庁は事態を重く受け止め、早急な対策を求めている。東電は近く本格的な調査に乗り出す方針だが、ずさんな管理体制が浮き彫りとなった。
 福島第一原発構内には約八万五千基のコンテナがあり、原発事故発生直後、構内の廃炉作業に伴って汚染された資材やがれきなどが収められた。コンテナの内容物は約四万六千基が可燃性のがれき、約三万一千基は使用済みの防護服、約三千基は不燃性のがれきなど。これらは二〇一七年十二月から内容物をデータで管理しているが、問題の約四千基分については、内容物の把握やデータベースへの反映が見送られたままになっていたという。
 三月初旬に構内の排水路で雨水の放射性物質濃度が上昇し、三月二十五日に排水路上流にある廃棄物一時保管エリアで高線量のゲル状の塊が周辺の鋼鉄製コンテナ(横三・八メートル、縦二・三メートル、高さ一・六メートル)の腐食部分から漏えいした可能性が発覚。これを受け、県が周辺のコンテナなどの調査を東電に求めて判明した。
 この排水路の周辺では内容物や配置された経緯さえ把握できていないコンテナ四基が見つかっている。このうち一基の表面で最大毎時一・五ミリシーベルトの高い放射線量が確認され、側面下部がさびていた。東電は漏えい対策として、この四基の周囲に土のうを暫定的に設置した。
 原発事故から十年が経過し、鋼鉄製コンテナの腐食が進んでいる。腐食したコンテナを補修するのか、新しいコンテナなどに内容物を移すのかを含め現時点で対応方針は決まっていない。東電はコンテナだけでなく、構内に長期間置かれているドラム缶なども調べる方針。

 原子力規制庁東電福島第一原発事故対策室の竹内淳室長は「詳細を把握していない廃棄物などの場所や量、内容物を特定し、東電に報告するよう求めている」と明らかにし、喫緊の課題として対処する考えを示した。