新潟県議会連合委員会は14日、柏崎刈羽原発で相次いだ失態の経緯や原因を直接問いただそうと、小早川智明社長ら東京電力幹部を参考人招致しました。
しかし小早川氏は「原因究明に取り組む」「私が先頭に立ち改善していく」と繰り返し、具体的な説明には踏み込ませんでした。
重川隆広氏(リベラル新潟)の質問では、質問概要を事前通告していたにもかかわらず、東電側は「詳細なデータは持ち合わせていない」と答弁したため、重川氏は「事前通告してあるのになぜか」と食い下がりました。これには議場がどよめいたということです。
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東電社長答弁、具体性乏しく 新潟県議会に招致 自民からも失望感
新潟日報 2021/04/15
柏崎刈羽原発で相次いだ失態の経緯や原因を直接問いただそうと、小早川智明社長ら東京電力幹部を参考人招致した新潟県議会連合委員会。原発に厳しい姿勢を示してきた会派だけでなく、東電と良好な関係を築いてきた自民党の県議まで「地に落ちた信頼をどう取り戻すのか」などと厳しい言葉で追及した。ただ、小早川氏らは謝罪や意気込みを繰り返すばかりで具体的な新事実は明らかにならなかった。
「信頼を取り戻せるとしたら、その第一歩は自律的に規範性の高い集団に生まれ変われるか否かだ」
原発が立地する柏崎市・刈羽選出で、原発の「有効性」を認めてきた与口善之氏(自民)は、不正が起きた背景に社員の問題意識の欠如や情報伝達のまずさを指摘した。しかし、小早川氏は「原因究明に取り組む」「私が先頭に立ち改善していく」と繰り返し、具体的な説明には踏み込まなかった。
与口氏は委員会終了後、「力強さ、思いが伝わってこなかった。今後の対応策が魂の入ったものになっているのか、しっかり見ていきたい」と話した。
柏崎刈羽再稼働に向けて「出口戦略」を模索してきた自民。しかし度重なる失態に、東電に対する党内の失望感は過去にないほど大きくなっている。
小林一大氏(自民)は、柏崎刈羽の運営権を他社に譲渡する「原発版コンセッション」の可能性を質問した。東電が原子力事業から手を引くシナリオを探ったが、小早川社長は「現時点では検討していない」と答えるにとどめた。
自民以外の県議も消化不良感を募らせた。
柏崎市・刈羽選出の池田千賀子氏(未来にいがた)は、核物質防護体制不備で不正侵入はなかったとする根拠を東電側に求めたが、セキュリティーを理由に回答は得られなかった。委員会後「言えない理由も含めて納得できる答弁ではなかった」と落胆した。
重川隆広氏(リベラル新潟)の質問では、質問概要を事前通告していたにもかかわらず、東電側は「詳細なデータは持ち合わせていない」と答弁した。重川氏は「事前通告してあるのになぜか」と食い下がり、議場もどよめいた。
公明、共産両党も含め、質問した側からは答弁内容への不満が多く聞かれた。小早川社長は委員会終了後、報道陣に「起こった事案が多岐にわたり、これから原因究明という段階にある。現時点で明確にお答えできる内容が乏しかった」と弁明した。
◎規制委招致 継続協議に
柏崎刈羽原発で相次いだ核物質防護体制の不備を巡り、県議会は14日、議会運営委員会(議運)を開き、原子力規制委員会の関係者の参考人招致について協議した。議運の招集を請求した、国政野党系の「未来にいがた」と非自民の無所属議員でつくる「リベラル新潟」の2会派が速やかに招致を決めるよう求めたが、最大会派の自民党は応じず、継続協議となった。
自民党は継続協議とした理由について、党内調整がまとまっていないことに加え、議運招集を請求した2会派との「信頼関係が失墜している」ことも挙げた。
議運は未来、リベラル両会派が9日に請求。東電の小早川智明社長を参考人招致した14日の連合委員会後に開かれた。
未来の大渕健幹事長は「事業者だけでは不十分。自民党も検討しているというので、急いでほしい」と要望。リベラルの重川隆広幹事長も次回予定する議運は1カ月以上先で「(両会派が規制委を招致できるか)不安になって議運開催をお願いしたのは至極当然」と理解を求めた。
これに対し、自民の皆川雄二議会対策委員長は党内調整を始めた直後に両会派が議運招集を請求したことを非難。「党内で『議会対策の窓口は何をやっているのか』と叱責(しっせき)された。(両会派と)信頼関係を失った中では、協議をしていくとしか言えない」と述べた。