2021年4月24日土曜日

処理水放出「説明や賠償不十分」 宮城県議会で不満噴出

 放射性物質トリチウムを含む汚染水を2年後をめどに海洋放出する政府決定を受け、宮城県議会22日、参考人として招致した東電幹部から説明を受けました。

 ADRにおける東電の対応を知っている議員からは風評被害への懸念をはじめ、説明や賠償が不十分な姿勢に不満が噴出しました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
処理水放出「説明や賠償不十分」 宮城県議会、東電への不満噴出
                         河北新報 2021年04月23日
 東京電力福島第1原発の放射性物質トリチウムを含む処理水を2年後をめどに海洋放出する政府決定を受け、宮城県議会の東日本大震災復興調査特別委員会は22日、参考人として招致した東電幹部から説明を受けた。議員からは風評被害への懸念をはじめ、説明や賠償が不十分な姿勢に不満が噴出した。
 参考人招致は9回目。東電の新妻常正フェローら9人が出席し、政府決定への対応方針に加え、処理水のモニタリング、保管状況を報告した。風評被害については「最後の一人まで賠償を貫徹する」と強調した。
 高橋宗也氏(東松島)は、東電がこれまでの賠償で裁判外紛争手続き(ADR)の和解案を受託しない対応があると指摘。「宮城は一番の水産の被害県だが、十分な賠償はない。今回の説明では、今までと何も変わらない」と訴えた。
 風評被害の賠償に関する想定額を問われた新妻氏は「明確な形では今はない。関係者の話を聞き、対策を進めたい」と釈明した。
 畠山和純氏(気仙沼・本吉)は「県議会として基本的に海洋放出に反対する」と明言。原子力規制委員会が、核物質防護不備が発覚した東電柏崎刈羽原発(新潟県)の事実上の運転禁止命令を出した経緯に触れ、「東電を信頼できない。会社の態勢をしっかり整えた上で賠償方針を出さなければ、何の裏付けもない」と語気を強めた。
 新妻氏は「信頼できる事業者として、理解してもらえるように取り組んでいく」と述べるにとどめた。
 他の議員からは(1)県民への十分な説明(2)海洋放出以外の処分方法の検討(3)トリチウムを分離する技術開発への参画-を求める意見が出た。
 東電幹部は同日、県漁協(石巻市)にも足を運び、幹部と面会した。