2021年4月26日月曜日

不祥事続きの東電に原発の運転任せられるか

 東京電力の柏崎刈羽原発の核物質防護に不備があった一連の問題で、原子力規制委員会は4月、同原発で核燃料の移動を禁止する是正措置命令を出しました。電力会社にこの命令が出されるのは初めてのことです。

 西日本新聞がそこに至った概要を報じ、10年前に世界最悪レベルの福島第1原発事故を起こした当事者としての反省がみじんも感じられない組織に、原発の運転を任せておけるだろうかと述べました
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東電の不祥事 原発の運転任せられるか
                            西日本新聞 2021/4/26
10年前に世界最悪レベルの福島第1原発事故を起こした。その当事者としての反省がみじんも感じられない組織に、原発の運転を任せておけるだろうか
東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)の核物質防護に不備があった問題で、原子力規制委員会は同原発で核燃料の移動を禁止する命令を出した。事実上の運転禁止命令である。
この命令が電力会社に出たのは初めてだ。東電の不手際の詳細は警備上の理由から非公表だが、それほどひどかったということだろう。
原発の燃料に使うウランやプルトニウムがテロリストなどの手に落ちると、悪用され深刻な事態を招きかねない。このため原発敷地内は部外者が侵入しないよう3段階の防護区域が設けられ、監視カメラや侵入検知センサーなどで出入りを厳重に管理するよう求められている
ところが柏崎刈羽では、侵入検知設備が故障していた上に代替措置も不十分なままで、昨年3月以降、不正な侵入を検知できない状況が1年近く続いていたという。
加えて、社員が昨年9月、同僚のIDカードを使って中央制御室に不正に入室していたことも明らかになった。いずれも核物質防護に関する日本の国際的信用を損ないかねない失態である。東電の原発絡みの失態はこれにとどまらない。1月に完了と公表した柏崎刈羽7号機の安全対策工事が実は一部未完了だった。福島第1では3号機原子炉建屋の地震計2基が壊れたまま放置され、福島・宮城両県で最大震度6強を記録した2月の地震のデータが取れなかった。
こうした原発の安全管理を巡る不祥事が相次ぐのは、東電の組織に安全を軽視する文化や風土があるからではないか。原発を運転する適格性が東電にあるのかとの疑念が改めて地元で広がっている。当然だろう。
福島第1の事故に伴う賠償や廃炉の費用を捻出するため、東電や経済産業省は柏崎刈羽7号機の今夏の再稼働を目指していた。6、7号機の再稼働で1基当たり年約900億円の収益改善を見込むものの、再稼働は1年以上先送りになった。安全をおろそかにした結果だ。
規制委は、東電で不祥事が続く原因を解明し、看過できない組織上の問題があれば、柏崎刈羽の設置許可取り消しも含めた厳正な判断を求めたい
規制当局の対応にも改めるべき点がある。中央制御室への不正入室について、東電から報告を受けた原子力規制庁が規制委に報告したのは約4カ月後だった。規制当局も安全最優先の徹底を再確認する必要があろう