東海第二原発の差し止めを原電に命じる水戸地裁判決の一部を不服として東京高裁に控訴した住民側は31日、会見し、地裁判決が地震や津波の想定について「安全性に欠けるところがあるとは認められない」としたことに「理解ができない」として、「控訴審で避難計画の不備を指摘した判決の意味を確かなものにして、さらに拡張した確定判決を得たい」と強調しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
住民側控訴 「地震や津波 想定甘い」 問題提起へ力を込める
東海第二差し止め訴訟
東京新聞 2021年4月1日
東海第二原発の差し止めを原電に命じる水戸地裁判決の一部を不服として東京高裁に控訴した住民(原告)側は三十一日、水戸市内で記者会見し、主張が退けられた地震や津波の想定の甘さについて「控訴審で問題提起していきたい」と力を込めた。
地裁判決は、避難計画の不備を理由に運転差し止めを認める一方、地震や津波の想定について「安全性に欠けるところがあるとは認められない」とした。事故の要因になる自然災害は「予測困難な事実を具体的危険性があることの要件とすることは相当ではない」と原電の主張を認めた。
原告共同代表の大石光伸さんは「理解ができない」として「控訴審で(避難計画の不備を指摘した)判決の意味を確かなものにして、さらに拡張した確定判決を得たい」と強調した。
その上で「原電は判決の意味を真摯(しんし)に受け止めることなく、条件反射的に控訴した。こうした姿勢が地域に不信感を生み、住民の安全を第一に考えているのか疑念を抱く」と非難した。
また、会見で原告弁護団共同代表の河合弘之弁護士は「事故時の避難にしぼった今回の判決は、国や原子力ムラからほとんど批判がなく、批判できない内容だ。社会的にも意義深い判決で、全国の原発裁判に広がることを期待している」と述べた。 (松村真一郎)