福島原発のトリチウム汚染水の海洋放出の方針を菅首相がこの時期に明らかにしたのは、貯留タンクの容量が限界に近づき、時間切れが迫っているとの判断からでした。
政府内では早い段階から海洋放出が現実的との見解が強かったのですが、これまで言い出せなかったのは「漁業関係者の反発を恐れた」からだと時事通信が報じました。
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菅首相、時間切れ迫り判断 五輪・選挙へ風評懸念も 原発処理水の海洋放出
時事通信 2021年4月9日
東京電力福島第1原発の処理水処分方法をめぐり、菅義偉首相がこの時期に海洋放出の方針を決めたのは、貯水タンクの容量が限界に近づき、時間切れが迫っているとの判断からだ。ただ、今は参院補選・再選挙のさなか。東京五輪と衆院選も近づいており、自民党からは「なぜ今なのか」と風評被害やイメージダウンへの不安から戸惑う声も漏れる。
「いつまでも先延ばしにできない」。政府高官は9日、首相の胸中をこう代弁した。首相に近い自民党幹部は「いずれ決断しなければならない。国民にも理解してもらえるはずだ」と語った。
政府内では早い段階から海洋放出が現実的との見解が強かった。経済産業省の専門家会合は2016年に「海洋放出が最も期間が短く最も費用が安い」との報告書をまとめた。それでもこれまで海洋放出に踏み出せなかったのは「漁業関係者の反発を恐れた」(政府関係者)からだ。