2024年1月20日土曜日

志賀・柏崎刈羽原発の重大リスク(植草一秀氏)

  植草一秀氏が掲題の記事を出しました。

 今後志賀原発の近傍で新たな地震が起きる可能性が大きいことを明らかにしています。
 同じく中越沖大地震再来の可能性もあると指摘しています。
 東電の経営者が福島第1原発に津波など来ないと見くびっていたために福島原発の大惨事が起きました。
 志賀原発にも柏崎刈羽原発にも今後更に大地震が襲うリスクがあります。「重大リスク」と呼ぶ所以です。
 前掲の「無限大リスクの志賀原発」を併せてお読みください
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志賀・柏崎刈羽原発の重大リスク
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年1月18日
1月1日に石川県で発生した大地震。最大震度は7、マグニチュードは7.6。
地震の揺れの強さを示す最大加速度は2828ガルを観測した。
最大震度、最大加速度を観測したのはいずれも石川県志賀町。
地震計は志賀町領家(りょうけ)に設置されている
志賀町では1月6日午後11時過ぎにも震度6弱の揺れを観測した。
志賀町では1月16日午後6時24分にも震度5弱の揺れを観測したが、この地震の震源地は志賀町だった。
志賀町には北陸電力志賀原子力発電所が存在する。
志賀原子力発電所敷地内に断層が存在し、この断層が活断層であるとの疑いが持たれている。

志賀原発の問題については2023年5月6日付ブログ記事「地震で廃炉避けられぬ志賀原発」https://x.gd/RXYUQ 
メルマガ記事「1892年に志賀原発至近で大地震」https://foomii.com/00050 
2023年5月11日付ブログ記事「原発稼働は人道に対する罪」https://x.gd/7ZRSm 
メルマガ記事「プレート笑う者はプレートに泣く」にも記述してきた。

2016年の有識者会合の評価書は志賀原発敷地内の一部の断層を活断層と解釈するのが「合理的」とした。
原発は活断層の上に立地できない。したがって、志賀原発は廃炉が確実な状況にあった。
今回の能登半島地震では輪島市近辺で4メートルの地盤隆起が観測されている。
今回の地震は逆断層型地震で水平方向に力が加わり断層が上方と下方にずれた。
上方にずれた側で4メートルの隆起が生じた。反対側の断層は逆に沈下したと見られる。

原発直下で断層のずれが生じれば原発は木っ端みじんに破壊される。したがって、活断層の上に原発を立地することは許されない。
ところが、志賀原発敷地内の断層が活断層であるとの判断が覆された。
原子力規制委員会が2023年3月15日の定例会合で、志賀原発2号機直下を走る複数の断層が「活断層ではない」とする審査チーム結論を了承したのである。
この判断変更を受けて志賀原発の再稼働が検討される段階に移行した。
背後にあるのは岸田内閣の原発全面推進の方針。
岸田首相は2022年末に原発全面稼働の方針を明示した。
亡国の首相、日本滅亡を主導する首相と言わざるを得ない。

1月1日の震度7の地震に前後して、震度5の地震が15回、震度6の地震が1回発生している。過去の同規模地震では最大の余震が本震発生の1ヵ月後に観測されており、まだ油断することは許されない。
政府の地震調査委員会は今回の地震の震源域が、能登半島の西から北東にかけてのおよそ150キロの範囲におよび、これまでに確認されている複数の活断層が関係している可能性が高いとの判断を示している。

東京大学地震研究所の佐竹健治教授は、各地で観測された津波の波形から、震源域の断層がどう動いたか分析し、
・能登半島の北側の沿岸に沿ったエリアと、隣り合う断層がそれぞれ大きくずれ動いた
・多方、最も北東側の沖合の断層はほとんど動いていなかった
ことが分かったとしている。

この活断層が動かなかった領域で、1月9日にマグニチュード6.1の地震が観測された。
新たな震源域が佐渡に近い地域で観測され始めている。
佐渡に近い地域は「中越沖」であり、過去に大きな地震を何度も引き起こしている地域である。ここで大きな地震が発生すれば大津波を発生させる可能性が高い。
新潟県中越地方に大津波が襲来するリスクが存在する。
新潟県中越地方に立地するのが東京電力柏崎刈羽原子力発電所である。
柏崎刈羽原子力発電所敷地内では2007年7月に発生した中越沖地震で2058ガルの最大加速度が観測されている。

今回の地震を踏まえて、志賀原発ならびに柏崎刈羽原発の廃炉を決断する必要がある。
国会で徹底論議するべきだ。

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