2024年1月29日月曜日

柏崎刈羽原発 再稼働巡る議論本格化へ 複合災害時 知事・政府の思惑は

 新潟テレビ21が掲題の記事を出しました。
 今年は柏崎刈羽原発の再稼働の議論が本格化します。しかし、その前提になる3つの検証委員会の成果がどこまで県民に公表されているのか、あるいは県にそれをする気があるのかが不明確です。
 3つの検証委員会の成果は、それ以外の課題と一緒の説明会にして短時間の説明で済まして良いようなものではないことを県は認識すべきです。
 柏崎刈羽原発の再稼働が頓挫すれば、福島第一原発の廃炉を課せられた東電の経営や、電力の安定供給などが危うくなるというのは本末転倒の議論で、事故を起こしたときの人的及び物的被害を最小限度に抑えるられるかが明確でなければ動かせないというが鉄則です。
 その点で「能登半島地震」が示した警鐘は決定的で、「避難路が数十か所で寸断」したこと一つとっても「再稼働不可」なのは明らかです。
 知事は再稼働に当たっては「信を問う」と述べるのではなく、検証で明らかにされた問題点をいつまでにどのように克服するのかを先ず明らかにすることです。特に避難委員会が明らかに456件の課題をどう解決するのかは最大限に重要です。
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【柏崎刈羽原発】再稼働巡る議論本格化へ 知事の姿勢・能登半島地震から想起された複合災害・政府の思惑は【新潟】
                        UX新潟テレビ21 2024/1/27
昨年末、原子力規制委員会による、柏崎刈羽原発に対する事実上の運転禁止命令が解除され、今年は、再稼働をめぐる議論が本格化する見通しです。政府は、夏までに柏崎刈羽原発を再稼働させ、電力需要のピークに備えたい考えですが、県内では、東京電力に対する不信感は根強いままです。
能登半島地震をきっかけに、原発事故との複合災害を懸念する声も広がっていて、与野党問わず再稼働に対する慎重論が上がっています。この問題を巡る現状と、関係者の思惑をまとめました。

去年12月27日、原子力規制委員会による、柏崎刈羽原発に対する事実上の運転禁止命令が解除された直後、東京電力の小早川智明社長は、斉藤健経済産業大臣と面会しました。
直前には、花角英世知事や柏崎市の桜井雅浩市長、刈羽村の品田宏夫村長にも電話で報告を済ませていました。

東京電力ホールディングス 小早川 智明 社長
「花角知事には当社の改善の取り組みについて私が先頭に立って県民のみなさまにご理解いただけるように取り組んでいく旨を申し上げたところ、知事からはしっかり努力していただきたいとのお話をいただきました。」

斉藤  経済産業大臣
「これはあくまでスタートラインであり、原子力規制委員会からの指摘や地元の声を真摯に受け止め、引き続き社長自ら先頭に立ってしっかりと改善に取り組んでいただきたい。」
斉藤大臣は「年明けに、地元の意向や実情を踏まえて、信頼回復に向けた取り組みの方針について、改めて聞かせていただきたい」と要請。経産省は、1月内にも東電からの報告を受け、県に対して、柏崎刈羽原発の再稼働に向けた協力を要請する方向で調整しています。

一方、原子力規制委員会の判断が、示される直前に開かれた花角知事の定例会見。
原発再稼働を巡る議論の本格化が予想される中、花角知事が唱える「県民に信を問う」手法に注目が高まっています。

■花角知事
信を問うという言葉の持つ意味は普通の感覚では存在を賭けるというような意味合いが強いのではないかと申し上げたことはあると思うが、今でもそう思う。もちろん選挙という方法もあると思う。」

しかし、柏崎刈羽原発の再稼働の是非を知事選で問うことに、政府内には懸念があります。
政府は去年12月、アラブ首長国連邦のドバイで開かれた国連気候変動会議(COP28)に合わせて、2050年までに世界の原発の発電容量を3倍に増やす多国間宣言に賛同しました。
世界最大級の柏崎刈羽原発の再稼働が頓挫すれば、国際的な宣言の履行に支障が出かねず、問題は、福島第一原発の廃炉を課せられた東電の経営や、電力の安定供給などにとどまらないためです。
ある官邸幹部は「知事選で勝てるならいい。負けたらエネルギー政策が行き詰まってしまう。新潟だけの問題ではなく、日本・世界の問題だ。うまくやらないとえらいことになる」と話しています。
また、「信を問う」時期も焦点です。
柏崎刈羽原発に対する、事実上の運転禁止命令が解除され、早ければ年度内にも、核燃料の装荷など再稼働に向けた物理的な準備が整います。
ある自民党幹部は「柏崎刈羽原発は象徴的。動けば東日本・東京の電気料金も下がる。6月県議会が勝負だ」と話しています。
政府・与党は、電力需要が高まる夏までに、柏崎刈羽原発を再稼働させたい考えですが、県内では慎重な意見が根強く、政府の思惑通りに進むかは不透明です。

1月8日に開かれた、野党関係者による街頭演説会。

■野党関係者
「地震が原発運転中に起これば土砂崩れにより道路が遮断され、交通も麻痺し、高速道路も止められ、電車も動かない。港も津波で壊れているという状況では避難できるわけがない。再稼働なんてできるわけがない。

複数の野党関係者が、能登半島地震の被害に言及し、柏崎刈羽原発の再稼働に反対しました。
県による「福島第一原発事故に関する3つの検証」の継続を求める市民団体が、1月13日に実施した柏崎刈羽原発に関する電話調査で、60%が再稼働に反対し、70%が安全に避難できないと答えました。
アンケートを民間会社に委託した市民団体は、このように分析します。

■新潟国際情報大学 佐々木 寛教授
地震があって初めて逃げられるのかとか 原発事故があった場合にどうなるのかということを当事者としてというか我が事として考える機会になった。」
野党関係者だけではなく、与党・自民党の県議も、原発再稼働に慎重な姿勢を示しています。
ある自民党県議は「原発は危険だという空気が増幅している。地震の前後で、雰囲気が全然違う。今年は勝負の年ではない」と話しています。
政府と県内世論の間で決断を迫られる花角知事。
県庁幹部は、政府へのいら立ちを隠さず、「今、地元は徹底的にアンチ。地元の理解を得て再稼働させようと思うなら、相当なことを考えないといけない。政府は大きな問題だということを、自覚して動いてもらいたい」と話しました。