2017年8月3日木曜日

燃料デブリ取り出し構想に規制委員長が疑念表明

 廃炉に向けた技術的な方針を検討している「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が、格納容器内のデブリを水を満たさない状態で取り出す方法を重点的に検討すべきだと提言したことに対して、田中原子力規制委員長は記者会見で「とても簡単にできることではない」と述べ、極めて強い放射線への対策が絶対条件だと強調しました。

 水は放射線の良好な減速材であって、使用済み核燃料も水中であれば比較的安全なため、例えば核燃料プールに保管されている核燃料を移送する場合、核燃料の長さを十分に上回る余裕水深を取ってその水面下で燃料キャスク(容器)に移すようにしています。それに対して使用済み核燃料が空中に露出した状態では、そこから桁外れの放射線が放射されるので人間は近づくことができません。

 田中氏の指摘には、そういうことにどう対処するのかの説明がないことへの不信などが根底にあったものと思われます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
燃料デブリ取り出し 規制委員長「放射線対策は絶対条件」
NHK NEWS WEB 2017年8月2日
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた最大の難関である「燃料デブリ」の取り出しで、国の専門機関が水で満たさない方法を重点的に検討すべきと提言したのについて、原子力規制委員会の田中委員長は「とても簡単にできることではない」と述べ、極めて強い放射線への対策が絶対条件だと強調しました。

福島第一原発の1号機から3号機の廃炉では、原子炉の外側を覆う「格納容器」の底などにあると見られる燃料デブリの取り出しが最大の難関とされていて、先月31日、廃炉に向けた技術的な方針を検討している「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」は、格納容器の上部まで水で満たさずにデブリを取り出す方法を重点的に検討すべきだと提言しました。

これについて、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、2日の記者会見で、一般の原発での核燃料の貯蔵や移動は、放射線を遮るために水の中で行われている例を挙げて「膨大な放射能を内蔵した核燃料への対策は非常に大変だ。かき出して済むという問題ではなく、空気中に出したら人はそばにいれなくなる。とても簡単にできることではない」と述べました。

そのうえで、田中委員長は「極めて強い放射線への対策は絶対条件だ」と強調し、今後、具体的な取り出しの手順などが示されたあと、規制委員会で確認していきたいとしました。

03- 大洗被ばく事故は「レベル2」 規制委が暫定評価

NHK NEWS WEB 2017年8月2日
ことし6月、茨城県にある日本原子力研究開発機構の研究施設で起きた被ばく事故について原子力規制委員会は、国際的な基準に基づいて事故の深刻さを評価した結果、「異常事象」にあたる「レベル2」とすることを暫定的に決めました。今後、詳しい原因などを確認したうえで、評価を確定することにしています。
この事故は、ことし6月、茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の研究施設で、プルトニウムなどの核燃料物質が入った袋が破裂し、作業員5人が被ばくしたもので、原子力機構は作業員の最大の被ばく量が今後50年間で100から200ミリシーベルトにあたると原子力規制委員会に報告しています。

この事故について規制委員会は2日、作業員の被ばく量などから「INES」と呼ばれる事故の深刻さの国際的な評価基準で、レベル0から7の8段階のうち下から3番目の「異常事象」にあたる「レベル2」とすることを暫定的に決めました。

「レベル2」は、東日本大震災による津波で宮城県の女川原発2号機の原子炉建屋の地下が浸水し、重要な機器が停止した事故以来で同じ震災によって起きた福島第一原発の事故はレベル7、平成7年に起きた高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故はレベル1と評価されています。規制委員会は今後、事故の詳しい原因などを確認したうえで、評価を確定することにしています。

これについて規制委員会の田中俊一委員長は「原子力機構は次々とトラブルを起こしている。トップマネジメントで責任をもってやらないとまた同じようなことを繰り返すおそれがある」と述べ、今後、組織全体の安全に対する取り組みなどを確認していく考えを示しました。

原子力事故 これまでの事例は
原子力施設などで起きた事故は、「INES」(いねす)と呼ばれるIAEA=国際原子力機関などが策定した基準を元に深刻さの度合いが評価されます。最も深刻な「レベル7」から「レベル0」までの8段階に分かれていて、どのレベルに当たるかは、放射性物質が漏れ出した量や作業員の被ばく量、安全設備の作動状況や作業手順の適切さなどにより総合的に判断されます。

今回の被ばく事故については、作業員の被ばく量が一定の基準を超えましたが、放射性物質が外に漏れていないことなどから原子力規制委員会は、「異常事象」にあたる「レベル2」とすることを暫定的に決めました。

「レベル2」は、6年前の東日本大震災による津波で宮城県にある女川原発2号機の原子炉建屋の地下が浸水し、重要な機器が停止した事故以来で、過去には、平成11年に石川県にある北陸電力・志賀原発1号機で起きた臨界事故や、平成3年に福井県にある関西電力・美浜原発2号機で起きた蒸気発生器の細管破断事故などがあります。

最も深刻な評価の「レベル7」は、世界的にみても東京電力・福島第一原発の事故と1986年に旧ソビエトで起きたチェルノブイリ原発事故の2つしかありません。

国内ではこのほか、平成11年に起きた茨城県にある核燃料加工施設JCOで作業員2人が被ばくして死亡した臨界事故が「レベル4」と評価され、平成9年に同じく茨城県にある再処理工場で火災と爆発が起きて放射性物質が漏れ出し、作業員37人が被ばくした事故が「レベル3」とされています。また、平成7年に起きた福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故は「レベル1」に該当すると評価されました。

2017年8月2日水曜日

核のごみ処理は「脱原発」で総量の確定を

 中國新聞の「社説 核のごみ処理 脱原発で総量の確定を」を紹介します。
 この社説は、地層の安定性に関しては「日本に10万年もの間安全に保管できる地層が存在するかは専門家の中でも見解が分かれる難しい問題だ(要旨)」という表現をして深入りを避けています。
 核のごみ処理の問題における様々な量的な関係が述べられているので参考になります。
 いずれにしても高レベル放射性廃棄物の処分は決して簡単には進みません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
社説 核のごみ処理 脱原発で総量の確定を
中國新聞 2017年7月31日
 思惑通りに最終処分地の選定が進むとは思えない。
 政府が「核のごみ」の最終処分地になり得る地域を示した日本地図を公表した。原発で発電した後に出る高レベル放射性廃棄物である。
 政府は処分地選定に向けた議論を活性化して、調査を受け入れる自治体の選定を急ぐという。
 核のごみは強い放射能を出すため、ガラスと混ぜて管理しやすい固化体にして、地下300メートルより深くに埋める。隔離期間は数万年から10万年とされる

 公表された地図は、政府が「処分が可能」とする場所が広く存在することを示している。全都道府県に存在し、国土の7割弱が該当した。長野県内も南信や中信地方の一部地域が「好ましい特性が確認できる地域」と分類された。
 地元の理解を得るには、解決するべき問題点が多い。

 まず処分する核のごみの総量が決まっていないことだ。日本には使用済み核燃料が約1万8千トン存在している。すでに再処理した分を含めると、ガラス固化体換算で2万5千本相当になる。
 原発の稼働を続ける限り、増え続ける。自治体には処分場を受け入れると、搬入が際限なく続くのではという懸念がある。最終処分を考えるなら、核のごみの総量を確定することが必要だ。脱原発を明確にして、原発の稼働期間と基数を決めなければならない
 核燃料サイクルの継続も焦点になる。原発で使用した後に出る核燃料は全て再処理して、プルトニウムやウランを取り出し、原発で燃料として再利用することになっている。核のごみは、その過程で生み出される。
 取り出したプルトニウムはすでに48トンに上り、核爆弾6千発分に相当する。それなのにプルトニウムの利用はめどが立たない。核燃サイクルは既に行き詰まっている。再処理を前提にした最終処分計画には無理がある
 科学的な根拠にも疑問が残る。10万年もの間、安全に保管できるかは専門家の中でも見解が分かれる難しい問題だ。検証が十分にされない限り、受け入れてもらうのは難しいだろう。

 核のごみの処分先が決まらない原発はこれまで「トイレなきマンション」と批判されてきた。核のごみは将来世代には有害な存在にすぎない。処分場選定はこれ以上、放置できない問題だ。政府だけでなく国民一人一人が政策の矛盾に向き合い、原発の「しまい方」を考える必要がある。

02- 住民に当時の状況聞く チェルノブイリ原発事故で移住

 ベラルーシ訪問団の高校生は31日午前(日本時間31日午後)、チェルノブイリ原発事故による放射能被害が大きかったゴメリ州ナロブリャ地区から別の土地に移住した住民たち当時の状況などを聞きました
 原町高2年生の佐藤花梨さんは「チェルノブイリ原発事故の知識がより深くなった。日本に戻ってみんなに伝えたい」と語った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
住民に当時の状況聞く チェルノブイリ原発事故で移住
福島民報 2017年8月1日
【ベラルーシ・ミンスク州で伊東一浩双葉北支局長】NPO法人ハッピーロードネット(広野町)が主催するベラルーシ訪問団の高校生は31日午前(日本時間31日午後)、チェルノブイリ原発事故による放射能被害が大きかったゴメリ州ナロブリャ地区から別の土地に移住した住民に当時の状況などを聞いた。
 移住者の会に所属するガリーナ・カラシニコワさんら3人が、生徒が宿泊しているミンスクのホテルを訪問。事故直後は詳しい放射線量が分からず、数年後に移住が始まった経緯などを語った。カラシニコワさんらは「子どもたちに放射線から身を守るすべを教えるのは非常に難しかった」と振り返った。福島第一原発事故について、「津波対策がされていなかったと聞いた。チェルノブイリの教訓が生かされていない、と思い残念だった」と述べた。
 佐藤花梨さん(原町高2年)は「チェルノブイリ原発事故の知識がより深くなった。日本に戻ってみんなに伝えたい」と語った。

2017年8月1日火曜日

双葉町避難者の支えに一区切り いわき仮設商店来月閉店へ

 無理な「避難解除」を行って福島の被爆住民の帰還を促しても、ことは決して順調に進みませんが、 そうした中でも仮設住宅団地の閉鎖は進められます。
 いわき市南台の仮設住宅団地で、5年半近く食料品や生活雑貨を販売してきた仮設店舗が8月末に閉店します。もとの双葉町に移転しても営業を続けられる見通しはないので、今後はいわき市南部でミニスーパーを開く予定にしています。
 河北新報がそうした現状を報じました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
双葉避難者の支え一区切り いわき仮設商店・来月閉店へ 利用客が減少
河北新報 2017年7月31日
 東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く福島県双葉町の町民が暮らすいわき市南台の仮設住宅団地で、5年半近く食料品や生活雑貨を販売してきた仮設店舗が8月末に閉店する。経営する同町の食品スーパー社長の松本正道さん(53)は「町民の食生活や気持ちを支えられたとすれば、うれしい」と話す。

 プレハブの仮設店舗「ふたばふれあい処(どころ)」は、2012年3月に開店した。多い時で約245世帯約430人が暮らした仮設住宅団地も、今や87世帯130人と約3割になり、利用客が減少。従業員も減って満足いく品ぞろえができなくなり、松本さんは当初めどとした丸5年を機に閉店を決めた。
 原発事故前は双葉町中心部でミニスーパー「ブイチェーン マルマサ店」を営んだ。突然の避難を余儀なくされ、県内や東京都を転々。避難生活に気持ちが落ち込んだ。店を共に切り盛りした母の万寿子さん(84)や従業員も同じだった。
 「商売をして精神状態を回復させたい」。いわき市に仮設住宅ができると聞いて出店を申し出た。収支は赤字が予想されたが「どこでやっても厳しいなら、双葉の人のために店をやろうと考えた」と振り返る。

 当初は仮設団地の周囲に商店がなく、入居者や近所の人らでにぎわい、昼食時はレジ待ちの列ができた。遠方に避難する町民も立ち寄り、「双葉にいるみたいだ」と言ってくれた。
 仮設団地では8月12日に町民有志グループ「夢ふたば人」が主催する夏恒例の盆踊りがあり、店として焼きそばや鶏の唐揚げなどを販売する。いつもの顔と会話し、懐かしい人と再会して、5年間の感謝を伝える場になる。
 松本さんは今後、検討しているいわき市南部でのミニスーパー開業の準備に入る。市南部の勿来酒井地区では町が町外拠点に位置付ける避難者向け災害公営住宅を整備中で、来春には仮設入居者の多くが移る。「特色ある店にしたい。古里のためにできるだけ協力していく」と先を見据える。

福島原発の燃料デブリ取出し 楽観は禁物

 福島原発3号機の格納容器下部の様子がマンボウ型ロボットで確認できたことについて、核燃料デブリの取出しの見通しが得られたかのような受け止めがされています。しかし通常であれば事故の直後に確認されていなければならなかったのが、強烈な放射線下の環境にあるために、事故後6年余も経過してからようやく3号機のみについて、内部の様子が撮影されたということに過ぎません。

 高放射線下で長時間作動するカメラ機構の開発をはじめ、電子部品を内蔵しながらデブリの解体・取出し作業をするロボットを果たして開発することが可能なのか、燃料デブリの取出しはすべてまだ「五里霧中」の段階にあります。
 福島民報が、「原発デブリ調査 楽観視は禁物だ」とする社説を載せました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
論説 原発デブリ調査 楽観視は禁物だ
福島民報 2017年7月31日
 東京電力は事故を起こした福島第一原発3号機で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)とみられる物体の撮影に初めて成功した。宇宙線を使った内部調査では、大部分が原子炉圧力容器から圧力容器の外側にある格納容器に落下した可能性が高いと判明した。
 一部を取り出して調べてみないと断定できないという。世耕弘成経済産業相は「9月をめどに取り出し方針を決定したい」と述べたが、取り出し技術の開発、保管や最終処分など難題が待ち受ける。確認目前までたどり着くのに、事故発生から6年以上かかった。廃炉作業が加速すると楽観視するのは禁物だ
 3号機は炉心溶融(メルトダウン)のため燃料デブリが圧力容器を突き抜け、格納容器に溶け落ちたと考えられていた。撮影と宇宙線調査は東電の解析結果を裏付けた格好だ。映像は格納容器内部の過酷な状況を示している。底に黒っぽい岩のような物体が積み重なり、砂状のものが舞い上がる。まるで深い海の底を見ているようだ。格納容器の破壊も相当なものだ。
 東電は燃料デブリの一部を採取し、硬さや性質を調べた後に取り出し手法を確立するもようだ。「状態に応じて変えざるを得ない」と専門家はみる。「切断する」「削り取る」「粉砕して回収する」など複数の手法を適宜使い分けていくことになりそうだ。燃料デブリの取り出しは、30~40年かかるとされる廃炉作業の最難関であり、手法開発は難航するとの厳しい見方がある。作業中の災害対策や事故防止策にも万全を期す必要がある。

 3号機の調査は1、2号機より条件に恵まれた。格納容器内の水位が約6・4メートルあり、投入した水中ロボットが移動しながら撮影できたためだ。1、2号機は格納容器の水位が低いため自走式ロボットを使用したが、障害物や高い放射線量の影響で必要な情報は得られず、燃料デブリは確認できないままだ。
 1~3号機には未使用と使用済みの燃料が建屋内のプールに置かれたままなのも不安要素だ。東電によると1号機は392体、2号機は615体、3号機は566体の燃料が入っている。注水により安定状態は維持しているものの、水素爆発などにより建屋は大きく損壊している。東電は来年度半ばにも取り出しに着手する方針だ。一日も早い回収を望む。
 今回の燃料デブリ確認作業は廃炉への一歩にすぎない。解決すべき課題は多い。求めたいのは福島第一原発全体の安全性向上だ。(鞍田炎)

01- 前月までの記事は次のようにすればご覧になれます

前月までの記事は次のようにすればご覧になれます

 画面右側の「ブログ アーカイブ」に表示されている例えば「5月」をクリックすると5月の記事のタイトルが表示されるので、ご覧になりたいタイトルをクリックすれば記事が表示されます。
 元の画面(最新の画面)に戻るには題字下にある「ホーム」をクリックします。

 までの記事は・・・
 画面右側の「ブログ アーカイブ」の下端に表示されている例えば「2016年」をクリックすると、まず同年の最終記事が表示されます。
 次にそのタイトルにカーソルを合わせてクリックすると、右側のアーカイブ欄が「2016年」の「12月」場面に変わり、その下に「11月~1月」の月名が表示されるので、上記の方法によって任意の月の任意の記事のタイトルをクリックすることで記事が表示されます。 
 平和・9条関連のニュースは下記で扱っています
        「湯沢 平和の輪」 ホームページ
         URL: http://yuzawaheiwa.blogspot.jp/ 
             
 どうぞそちらの方にもご訪問ください。URLをクリックすればそちらにジャンプします。

 ブログ内の記事の検索は次のようにすれば出来ます
 画面最上段の「原発をなくす湯沢の会」の黄土色のタイトル帯の左上にある白い長四角の欄が検索用のキーワードを入れるところで、例えばそこに「TPP」と入れて虫眼鏡マークをクリックすれば、「TPP」を含んだ記事のすべてが日付順に表示されます。
 一度に表示し切れない場合は、記事の末尾に「次の投稿」が表示されるので、それをクリックすると次の記事が表示されます。
 全ての記事を表示し終えると「次の投稿」の文字は表示されなくなります。
 元の画面(最新の画面)に戻るには題字下にある「ホーム」をクリックします。

 右欄の下の方に 「人気の投稿」 10件表示されています。
 これはアクセス数の多い順に自動的に表示されるもので、それぞれのタイトルをクリックすると原記事にジャンプします。
 いずれも元の画面(最新の画面)に戻るには題字下にある「ホーム」をクリックします。