2017年8月3日木曜日

03- 大洗被ばく事故は「レベル2」 規制委が暫定評価

NHK NEWS WEB 2017年8月2日
ことし6月、茨城県にある日本原子力研究開発機構の研究施設で起きた被ばく事故について原子力規制委員会は、国際的な基準に基づいて事故の深刻さを評価した結果、「異常事象」にあたる「レベル2」とすることを暫定的に決めました。今後、詳しい原因などを確認したうえで、評価を確定することにしています。
この事故は、ことし6月、茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の研究施設で、プルトニウムなどの核燃料物質が入った袋が破裂し、作業員5人が被ばくしたもので、原子力機構は作業員の最大の被ばく量が今後50年間で100から200ミリシーベルトにあたると原子力規制委員会に報告しています。

この事故について規制委員会は2日、作業員の被ばく量などから「INES」と呼ばれる事故の深刻さの国際的な評価基準で、レベル0から7の8段階のうち下から3番目の「異常事象」にあたる「レベル2」とすることを暫定的に決めました。

「レベル2」は、東日本大震災による津波で宮城県の女川原発2号機の原子炉建屋の地下が浸水し、重要な機器が停止した事故以来で同じ震災によって起きた福島第一原発の事故はレベル7、平成7年に起きた高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故はレベル1と評価されています。規制委員会は今後、事故の詳しい原因などを確認したうえで、評価を確定することにしています。

これについて規制委員会の田中俊一委員長は「原子力機構は次々とトラブルを起こしている。トップマネジメントで責任をもってやらないとまた同じようなことを繰り返すおそれがある」と述べ、今後、組織全体の安全に対する取り組みなどを確認していく考えを示しました。

原子力事故 これまでの事例は
原子力施設などで起きた事故は、「INES」(いねす)と呼ばれるIAEA=国際原子力機関などが策定した基準を元に深刻さの度合いが評価されます。最も深刻な「レベル7」から「レベル0」までの8段階に分かれていて、どのレベルに当たるかは、放射性物質が漏れ出した量や作業員の被ばく量、安全設備の作動状況や作業手順の適切さなどにより総合的に判断されます。

今回の被ばく事故については、作業員の被ばく量が一定の基準を超えましたが、放射性物質が外に漏れていないことなどから原子力規制委員会は、「異常事象」にあたる「レベル2」とすることを暫定的に決めました。

「レベル2」は、6年前の東日本大震災による津波で宮城県にある女川原発2号機の原子炉建屋の地下が浸水し、重要な機器が停止した事故以来で、過去には、平成11年に石川県にある北陸電力・志賀原発1号機で起きた臨界事故や、平成3年に福井県にある関西電力・美浜原発2号機で起きた蒸気発生器の細管破断事故などがあります。

最も深刻な評価の「レベル7」は、世界的にみても東京電力・福島第一原発の事故と1986年に旧ソビエトで起きたチェルノブイリ原発事故の2つしかありません。

国内ではこのほか、平成11年に起きた茨城県にある核燃料加工施設JCOで作業員2人が被ばくして死亡した臨界事故が「レベル4」と評価され、平成9年に同じく茨城県にある再処理工場で火災と爆発が起きて放射性物質が漏れ出し、作業員37人が被ばくした事故が「レベル3」とされています。また、平成7年に起きた福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故は「レベル1」に該当すると評価されました。