廃炉に向けた技術的な方針を検討している「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が、格納容器内のデブリを水を満たさない状態で取り出す方法を重点的に検討すべきだと提言したことに対して、田中原子力規制委員長は記者会見で「とても簡単にできることではない」と述べ、極めて強い放射線への対策が絶対条件だと強調しました。
水は放射線の良好な減速材であって、使用済み核燃料も水中であれば比較的安全なため、例えば核燃料プールに保管されている核燃料を移送する場合、核燃料の長さを十分に上回る余裕水深を取ってその水面下で燃料キャスク(容器)に移すようにしています。それに対して使用済み核燃料が空中に露出した状態では、そこから桁外れの放射線が放射されるので人間は近づくことができません。
田中氏の指摘には、そういうことにどう対処するのかの説明がないことへの不信などが根底にあったものと思われます。
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燃料デブリ取り出し 規制委員長「放射線対策は絶対条件」
NHK NEWS WEB 2017年8月2日
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた最大の難関である「燃料デブリ」の取り出しで、国の専門機関が水で満たさない方法を重点的に検討すべきと提言したのについて、原子力規制委員会の田中委員長は「とても簡単にできることではない」と述べ、極めて強い放射線への対策が絶対条件だと強調しました。
福島第一原発の1号機から3号機の廃炉では、原子炉の外側を覆う「格納容器」の底などにあると見られる燃料デブリの取り出しが最大の難関とされていて、先月31日、廃炉に向けた技術的な方針を検討している「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」は、格納容器の上部まで水で満たさずにデブリを取り出す方法を重点的に検討すべきだと提言しました。
これについて、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、2日の記者会見で、一般の原発での核燃料の貯蔵や移動は、放射線を遮るために水の中で行われている例を挙げて「膨大な放射能を内蔵した核燃料への対策は非常に大変だ。かき出して済むという問題ではなく、空気中に出したら人はそばにいれなくなる。とても簡単にできることではない」と述べました。
そのうえで、田中委員長は「極めて強い放射線への対策は絶対条件だ」と強調し、今後、具体的な取り出しの手順などが示されたあと、規制委員会で確認していきたいとしました。