放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方針を巡り、政府は海洋放出に当たりトリチウム濃度を国の規制基準値の1/40まで希釈する方向で検討しています。トリチウムの環境放出規制基準値は実に1リットル当たり6万ベクレルなので、それを1リットル当たり1500ベクレルまで処理水を希釈する方針です。
6万ベクレルというような高濃度を許容しているのはトリチウムがβ崩壊のため人体を照射する力が弱いためですが、海中に放流されたものが食物連鎖で人体に取り込まれる場合の危険性は別に考える必要があります。
今度の記事で、現在でもサブドレンとしてトリチウムを1リットル当たり1500ベクレル未満含む水を常時海洋に放出していることが分かりました(累計100万トンも)。
それ自体が問題なので、そこまで希釈すればいいということにはなりません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
地下水累計100万トン放出 処理水には抵抗感 福島第一原発
福島民報 2020/10/28
東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方針を巡り、海洋放出を軸に最終調整している政府は、処理水のトリチウム濃度を国の規制基準値の四十分の一まで希釈する方向で検討している。
原子力規制委員会が定めるトリチウムの環境放出規制基準値は一リットル当たり六万ベクレル未満。政府は一リットル当たり一五〇〇ベクレル未満まで処理水を希釈する方針だ。
一方で、東電は地下水が原子炉建屋に流入し、溶融核燃料(デブリ)に触れることで発生する汚染水を減らせば、処理水そのものが減るとして、原子炉建屋周辺の「サブドレン」と呼ばれる井戸や建屋に流入する前に「地下水バイパス」から地下水をくみ上げて海に放出している。このトリチウム濃度は、一リットル当たり一五〇〇ベクレル未満。政府は処理水の濃度をこの地下水と同じ水準とすることで、風評を最大限抑制したい考えだ。