経産省は、有識者委員24人でつくる総合資源エネルギー調査会基本政策分科会に、50年に向けた課題の議論や30年度目標の検証を要請しました。現在の計画が目指す30年度の電源構成比率について、再生可能エネルギーは早くも22~24%の目標を達成しつつあるので、世界的な「脱炭素」の流れから目標の引き上げが求められます。
再生エネの比率を高めた分、国民不信で再稼働が進まない原発や、二酸化炭素を排出する火力の比率を引き下げられるかが焦点となります。
橘川武郎委員(国際大教授)は、再生エネ30%、原発15%などを例示し「勇気をもって」電源構成を変えることも必要なのではないかと述べました。是非その方向に進むべきです。
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再生可能エネルギーや原発の比率は? 基本計画改定へ議論始まる
東京新聞 2020年10月14日
◆再生可能エネルギーは目標到達
政府は30年度の電源構成の目標比率について、再生エネ22~24%、原発20~22%、液化天然ガス(LNG)と石炭、石油を合わせた火力56%としている。
国際エネルギー機関(IEA)の速報値によると、日本の今年1~6月の再生エネの比率は太陽光の拡大などで23%まで上昇。4~5割に達したドイツなどの水準には及ばないが、目標に到達したことになる。
一方で、原発比率はIEAの集計で6%。目標の22%に届くには30基程度を動かす必要がある。しかし、新規制基準に適合して再稼働したのは33基ある商業用原発のうち9基にとどまる。安全性に対する国民の不信は根強く、目標維持は現実的ではない。
また、CO2排出をなくしていく「脱炭素」の流れは世界的に強まり、日本政府も非効率な石炭火力を段階的に廃止する方針を打ち出している。石炭火力をどこまで減らし、再生エネの大胆な拡大へとかじを切れるかが問われる。
◆現行計画では原発が「重要なベースロード電源」
基本計画は少なくとも3年ごとに、必要があれば変更することが法律で定められている。18年7月に閣議決定した現行の第5次計画は、再生エネの「主力電源化」を打ち出す一方、原発を「重要なベースロード電源」として再稼働を進める方針は変えなかった。
経産省は13日、有識者委員24人でつくる総合資源エネルギー調査会基本政策分科会に、50年に向けた課題の議論や、30年度目標の検証を要請した。梶山弘志経済産業相は目標について「結論ありきではなく、議論を積み重ねた上で、最終的にバランスのとれた方向性を示してほしい」と述べた。
分科会委員の橘川武郎・国際大大学院教授はこの日の議論で、再生エネ30%、原発15%などと例示しながら「30年のエネルギーミックス(電源構成)を勇気をもって変えることも必要ではないか」と指摘した。(妹尾聡太)