2020年10月3日土曜日

女川原発の再稼働巡り論戦本格化 宮城県議会

 女川原発の再稼働巡り与野党の論戦本格化 宮城県議会

                         河北新報 2020年10月02日
 宮城県議会9月定例会は1日に代表質問を行い、東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働を巡る議論が本格化した。最大会派の自民党・県民会議は再稼働容認を明確にした上で、安全対策の重要性を強調。野党会派のみやぎ県民の声と共産党県議団は「エネルギー政策は国の責任」と繰り返す村井嘉浩知事の姿勢を批判。村井知事は再稼働の是非に言及しなかった。
 再稼働を求める賛成請願に署名する方針の自民会派は、菊地恵一氏が登壇。「低廉な電力供給には、原発が当面必要だ」と会派の立ち位置を鮮明にした。
 同会派は8月28日に女川原発を訪れ、海抜29メートルの防潮堤や原子炉格納容器の破損を防ぐ装置を視察した。菊地氏は「対策を講じても人為ミスは困る。国策であっても対応しすぎることはない」と、県に主体的な監視を求めた。
 村井知事は「絶対に大丈夫ということはない。二重、三重、四重の対策が必要だ」と応じた。
 野党2会派は、東日本大震災で被災した2号機の安全性に加え、使用済み核燃料の問題、重大事故時の広域避難計画の実効性を取り上げた
 県民の声の佐々木功悦氏は、再稼働でさらに増える使用済み核燃料の最終処分に向けた保管経費を問題視。「長期化すれば、天文学的になる可能性もある。子々孫々につけを残してはいけない」と訴えた。
 村井知事は「放射性廃棄物の最終処分は、国が責任を持って取り組むべき課題だ。国に対して要望していく」とかわした。
 共産党の天下みゆき氏は、原発から30キロ圏内の医療機関に入院する患者ら要支援者が避難する難しさを指摘。「住民が安全に逃げる条件が整ったと考えているのか」と迫った
 「避難計画は政府が6月に了承した。実効性は確保されているとの認識だ」と村井知事。政府にげたを預ける発言に終始した。
 再稼働の前提となる「地元同意」を判断する際、村井知事は県議会の意思を最も重視する方針。2日からは一般質問に入る。