東北電力女川原発2号機の再稼働を巡り、宮城県議会「自民党・県民会議」に所属するベテラン議員が8日、再稼働請願の提案に関する質問を行う中で、賛否を棄権する可能性を示唆しました。その中で原発は「もろ刃の剣」と表現し、「国は最後は責任を持つ」というが、「国が取れる責任は極めて限定的で、福島の深刻な現実が物語っている」と訴え、「厳然たる事実に基づく懸念を指摘し、問題提起するのも与党に身を置く議員の重要な役割だ」と説明しました。
女川原発2号機の再稼働について、岩手県生協連合会と県消費者団体連絡協議会が8日、再稼働を断念するよう求める要請書を東北電岩手支店に提出しましたので併せて紹介します。
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女川再稼働賛成の請願 自民ベテラン宮城県議が棄権を示唆「安全神話崩れた」
河北新報 2020年10月09日
東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働を巡り、賛成請願に署名した宮城県議会最大会派「自民党・県民会議」に所属するベテランが8日、「賛成とは言えない」と述べ、請願の賛否を棄権する可能性を示唆した。
藤倉知格氏(富谷・黒川、8期)が県議会9月定例会の一般質問で表明した。昨年の2月定例会の一般質問では、将来的な脱原発に言及。再稼働の是非を問う住民投票条例案の採決時、自民会派で唯一棄権した。
東京電力福島第1原発事故、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)など未解決の問題を挙げた藤倉氏。「『原発推進、再稼働容認、原発の恩恵には浴す。だが汚染水の放出には反対、最終処分場はごめん被る』では整合性が取れない」と指摘した。
原発を「ハイリターンの一方でハイリスクが伴うもろ刃の剣」と表現。「最後は責任を持つ」との国の姿勢を「殺し文句ないしは決めぜりふ」とし、「国が取れる責任は極めて限定的だと、福島の深刻な現実が物語っている」と訴えた。
藤倉氏はかつて女川原発3号機のプルサーマル計画を推進する立場だったが、「福島の事故で自分の中の安全神話が崩れた」と述懐。「苦悩を背負い、再稼働に賛成とはいかないと申し上げる」と締めくくった。
終了後、藤倉氏は「自分は自民。この件は苦悩の塊だ」と吐露。「批判だけの野党とは違う。厳然たる事実に基づく懸念を指摘し、問題提起するのも与党に身を置く議員の重要な役割だ」と説明した。
女川再稼働断念を 岩手の2団体が東北電に要請
河北新報 2020年10月09日
東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)を巡り、岩手県生協連合会と県消費者団体連絡協議会は8日、再稼働を断念するよう求める要請書を東北電岩手支店に提出した。「隣県の私たちも当事者。決して見過ごせない」と主張している。
両団体は、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質によって放射線量の高い地域が岩手県内に発生したと指摘。「(より近い)女川原発で事故が起これば、風向きによっては岩手を直撃して大きな被害を受ける」と強調した。
要請は、開会中の宮城県議会9月定例会で、再稼働の前提となる地元同意の賛否を問う請願が審議されるタイミングに合わせた。県生協連の吉田敏恵専務理事は「岩手県民の声も聞いてほしい」と述べた。
東北電岩手支店の尾形直也総務広報部長は「要請書の内容をしっかり確認し、経営陣と共有したい」と応じた。
岩手県内では、放射性物質濃度が国の基準を超えた一部の原木シイタメ、ナメコ、山菜などの出荷制限が続く。県と各市町村は8月末現在、東電に約148億円の損害賠償を請求し、約126億円の支払いが決まった。
女川原発2号機は2月、原子力規制委員会の審査に合格。東北電は安全対策工事が完了する2022年度以降の再稼働を目指している。